• 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/32_アンドレサ・ペドロサ
  • 2026.04.13

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Andresa Pedroso アンドレサ・ペドロサ
ブラジル南部出身。現在はバイロンベイを拠点に活動するアーティスト兼フォトグラファー。海と自然に囲まれたライフスタイルからインスピレーションを受け、旅や日常の美しい瞬間を作品へと落とし込んでいる。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちはブラジル南部のガロパバ。2016年にオーストラリアへ渡り、ここ5年はバイロンベイで暮らしている。現在はアーティスト、フォトグラファーとして活動しながら、子どもと関わる仕事もしている。
多くの人がそうであるように、私も「いろいろな場所を見てみたい」という気持ちが強くて、19歳のときに兄がいたオーストラリアへ遊びに行ったのがきっかけ。その旅を経て一度はブラジルに戻ったけれど、「やっぱりオーストラリアに住みたい」と思い、約1年かけてお金を貯めて移住したの。
ライフスタイルはもちろん、アジアや太平洋の島々など、ブラジルからは遠かった場所に気軽にアクセスできるのも大きな魅力。移住までの道のりは決して簡単ではなかったけれど、「ここを自分のホームにしたい」という想いがずっとあったから、どんな困難も乗り越えられたわ。

アートを始めたきっかけとインスピレーション

子どもの頃からクリエイティブなことが大好きで、時間があれば何かを作ったり、クラフトをしていた。今でも作品を作っているときは、あの頃に戻るような感覚になるの。本格的に制作に向き合い始めたのは2019年。最初はセラピーのようなものだった。日中は幼稚園で働いて、家に帰ってから水彩画を描く日々。その時の気分のまま自由に描く時間が、何よりの楽しみだったわ。
続けていくうちに自分のスタイルが少しずつ見えてきて、友人たちが作品を褒めてくれたり、「買いたい」と言ってくれたことが、ビジネスを始めるきっかけになったの。その後バイロンベイに移り、より制作に集中するように。周囲からも「アートでやっていくべき」と背中を押された。
最初は「本当に売れるの?」という不安もあったけれど、マーケットに出てみたら反応は想像以上! 「自分のアートには価値がある」と実感できたことで、大きな自信とモチベーションにつながったわ。
趣味やセラピーとして始めたものを、好きなことで収入を得る形へ変えていくのは簡単ではなかった。でも続けることで少しずつ形になり、3年ほど経った今では、他の仕事を減らしてほとんどの時間を制作に使えるようになったの。
インスピレーションの源は、やっぱりライフスタイル。海辺で育ち、家族は漁師。幼い頃からビーチや海の中で過ごす時間が当たり前だった。ブラジルではサーフィンもよくしていたし、海や海沿いの暮らし、トロピカルな空気感から多くを受け取っているわ。島を旅するのも大好きで、南国の花やパームツリー、その空気に強く惹かれるの。そうした感覚が自然と作品に表れていると思う。それだけじゃなくて、お店で見かけた服の色合わせや、カフェで出てきた料理の色合いなど、日常のささやかな瞬間からもインスピレーションを受けている。

オーストラリアのマーケット文化が繋ぐ人との出会い

マーケットの魅力は、やっぱり人と直接会えること。その場でリアルな反応を感じられるのが何より大きいわ。ブースに来てくれた人が「これすごくいい、大好き!」と言ってくれる瞬間は、本当に特別で嬉しいもの。そこから自然と会話が生まれて、「どこからインスピレーションを得ているの?」とか質問してくれるのも楽しい。
あと面白いのは、色んなアーティストが訪れてくれること。「自分もやってみたい」と言ってくれて、その後「マーケットに出始めたよ」「あなたに勇気をもらった」と伝えてくれる人もいる。自分の活動が誰かの一歩につながっていると感じられるのは、とても特別なこと。
ただ作品を売る場所ではなく、人とつながり、影響し合うポジティブな空間。それがオーストラリアのマーケット文化の魅力だと思うわ。

海、自然との関係を言葉にするなら?

自然との関係は、とても深くて大切なもの。インスピレーションの源でもあり、心を整えてくれる存在でもある。時間があればビーチへ行ったり、自然の中を歩いたりするのが好き。海に入ると、気持ちがリセットされる感覚があって、癒しという言葉だけでは足りないくらい。落ち込んでいるときも、嬉しいときも、少し泳ぐだけで気分が大きく変わる。海には人を癒す力があると、本気で思っている。
旅先でも気づけば、いつも海のある場所を選んでいる。シュノーケリングができたり、水の中を楽しめる場所。友人には「また海のきれいな場所に行ってるね」と笑われるけれど、それくらい自然に惹かれているということだと思うわ。
去年訪れた日本では、沖縄の石垣島や宮古島がとても印象的だった。宮古島で見た色とりどりのハイビスカスを写真に収め、そのまま作品として描いたの。旅や自然で感じたことが、そのまま表現につながっていくことが多い。

あなたの人生に欠かせない3つのもの

1つ目は、海の近くで暮らすこと。歩いて5分で海に行ける距離が理想。
2つ目は、人とのつながり。家族と離れているからこそ、バイロンで出会った友人たちは家族のような存在。彼らなしの生活は考えられないわ。
3つ目は、穏やかな環境。自然に囲まれ、自分の空間が落ち着いていること。心が安心できる場所で過ごすことが、とても大切。

今後の夢目標

アートイベントに参加しながら、より多くのクリエイティブな人たちとつながっていきたい。そして写真にも、もっと力を入れていきたいと思ってる。これからの数年は、旅もいっぱいしたいな。今一番行きたい場所はタヒチ。何度か計画しながら実現できていないから、近いうちに必ずいかねくちゃ。

これから何か新しいことに挑戦したい人へのアドバイス

考えすぎないこと、とにかくやってみること。それが一番大事だと思う。頭の中で考えすぎて動けなくなることって多いけれど、実際にやってみると意外とシンプルなことも多い。
うまくいかないことがあっても、「やってみた経験」は必ず残るし、「やらなかった後悔」よりずっといい。そして、愛情や情熱を持って取り組めば、思っている以上にうまくいくことも多いもの。私自身も最初は怖かったけれど、挑戦したからこそ今がある。だからこそ、怖くても一歩踏み出してみること。それが何より大切なことだと思う。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

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