• 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/18_ベラ・フランチェスカ・ロック
  • 2025.06.09

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Bella Francesca Rock ベラ・フランチェスカ・ロック
アメリカ・ピッツバーグ出身、現在28歳。バリとメンタワイ諸島を行き来しながらグラフィックデザイナー、フォトグラファーとして活動している。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちはアメリカ・ペンシルベニア州のピッツバーグ。海から遠く離れた、田舎のファームで育った。10歳のとき父と一緒にカリフォルニアを旅行して、そのときに初めてサーフィンをした。その瞬間から海に惹かれていったのを覚えている。それから3年後、大好きだった父が亡くなり、生きる意味を見つけるのがとても難しい時期があった。でも、母がフロリダに家を買ったことがきっかけで自然の中で過ごすことが増え、サーフィンやダイビング、釣りにどんどんハマって行ったの。20歳のときにカリフォルニアに移住して、それ以来サーフィンは私の生活の一部になった。
2021年、当時付き合っていた彼とバリへの旅行を計画していたんだけど、旅のはじめに「別々の道を歩もう」と決めたの。でも、初めて訪れたバリの美しさにすっかり恋をしてしまって……。最初は数ヶ月滞在するつもりだったんだけど、気がつけばもう4年も経っている。
今はウルワツを拠点に、メンタワイ諸島を行き来しながら生活している。仕事は、大学で学んだグラフィックデザインを活かしてデザイナーをしつつ、メンタワイではフォトグラファーとして、ボートトリップに訪れるサーファーたちを撮影している。

カメラを始めたきっかけと新しいビジネス

写真はもともと趣味程度で始めたの。当時付き合っていた彼がフィルムメーカーで働いていたからカメラ機材はすべて揃っていて、遊び半分で撮り始めたのがきっかけだった。
初めて“仕事”として撮影したのは、ボートトリップ。完璧な写真を求められていたわけではなかったからプレッシャーを感じることなく、自然体で撮影することができた。その旅は、これまで何度も訪れたメンタワイの中でも一番の思い出。写真を撮る楽しさも、手つかずの自然や世界トップクラスの波を体験できたのも、すべてが今の自分につながっていると感じている。
インドネシアの波、文化、人々——この土地は、本当にたくさんのものを私に与えてくれた。そしてそれが、今の私を形づくっている。だから今度は私がこの場所に恩返しをしたいと思って、ブランドを立ち上げたの。フィンを入れるバッグなんだけど、インドネシアのローカルなバティック柄の生地を使っていて、利益の一部は地域のコミュニティに還元する予定。

海、自然との関係を言葉で表すなら?

“Mother Nature”という言葉がピッタリ当てはまると思う。その日の波のコンディションによって、毎回違う気付きや学びを得ることができる。例えば、波が大きな日には自分を謙虚にさせてくれるし、逆にあまり期待せずに行った日に限って、人生最高の1本に巡り合ったりする。自然は、自分ではコントロール出来ないということを優しく、でも力強く教えてくれる母なる存在。

お気に入りのボードとサーフスポットは?

最近は、ツインフィンに乗るのがマイブーム。小波でも楽しめるロングボードも気になっていて、中古のボードを買おうかどうかちょうど迷っているところ。
お気に入りのサーフスポットは、バリのビンギンとメンタワイ諸島のテレスコープ。どちらも何度も訪れたくなる、大好きな場所。
次はモロッコとスリランカに行ってみたい。豊かな文化に惹かれる性格だから、この2カ国はずっと行きたいと思っている憧れの場所。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

コーヒー、波、サーフボード。サーフィンがない生活は考えられないわ。

これから何か新しいことを始めたい人へのアドバイスをするとしたら?

やりたいことがあるなら、思い切って始めることかな。考えれば考えるほど障害物が出てくるから、直感で思いついたアイデアを信じてみること。

今後の夢や目標は?

今は、新しく始めるビジネスを育てていくことがひとつの目標。ビジネスといっても、あまり堅く考えているわけじゃなくて、好きなことから始めたことだから、自然な形でうまくいったらいいなって思っている。
それから、もっとインドネシアの島々を巡りたいというのも、ずっと心にある夢。ついつい波が豊富な場所にばかり足を運びがちだけど、それ以外にも手つかずの大自然が広がる島がたくさんある。そんな場所をこの目で見て、感じてみたいと思ってる。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

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