カリフォルニア・カールスバッド出身のテイラー・ノックス。ケリー・スレーターやロブ・マチャド、パット・オコーネルらと共にモーメンタム世代として知られ、41歳の現役引退までトップの座に君臨し続けていた。シグネーチャーともいえる低い重心からフルレールを入れてのターンは圧巻で、多くのサーファーに影響を与えると共に、パワーサーフィンの新基準を打ち立てた。50歳になった今も現役時代と変わらないライディングは健在だが、そんなテイラーの半生を描いたドキュメンタリー映画『The Body Follows the Mind』が公開された。
15歳のときにスケートボードの事故で脊椎損傷という大きな怪我を負うも克服し、プロサーファーになったテイラー。その後数十年にわたるプロキャリアを通じながら、 技術、パワー、スタイルがどのようにして彼をサーフィンの頂点へ導き、さらに心と体の調和をどうやって追求していったかを作品は写し出している。
映画をサポートするのは、アパレルブランドのVuori/ヴオリ。フィットネス、ヨガ、サーフィンをライフスタイルの一部と捉え、時代を超えた商品を作りながら、ヘルシーでポジティブな生活を送るインスピレーションを与えている。
about Vuori
高い機能性と品質を兼ね備えた、メイド・イン・カリフォルニアブランド。スタイルを大切にし「動きやすさとライフスタイルに彩りを添えたデザイン」を提案している。サスティナブルな素材の使用や環境への影響の最小化を目指し、より良い未来への道を積極的に切り開いている。ロブ・マチャドもVuoriファミリーの一人。
TAG #Taylor Knox#The Body Follows the Mind#サーフフィルム#テイラー・ノックス#モーメンタム世代
あたたかい海に囲まれた南の島、沖縄には1年中波がある。そして、自然のリズムに寄り添ったサーフカルチャーが根付いている。沖縄生まれの兄妹プロサーファー、宮城和真と有沙。島人(しまんちゅ)に受け継がれる心を胸に、2人仲良く歩みを進める。
沖縄には、月の満ち欠けで時を刻む旧暦の文化が今も息づく。猛烈な台風や熱暑という過酷な自然条件が大きな理由。島人が安全に漁や農耕を行うために、潮の満ち引きや作付け・収穫の時期を計れる旧暦はなくてはならないものなのだ。その影響はサーファーたちにも色濃い。沖縄特有のサーフィンについて、宮城和真はこう話す。
「1日の中でサーフタイムが決まっているんです。満潮の前後2時間が基本とされています」
島のサーフポイントはリーフブレイクのみ。水深が浅いため、干潮時はサンゴ礁が剥き出しになってしまう。それゆえ、月のリズムに呼応した行動が必要なのである。和真の妹・有沙はサーフィンをするにあたって、「気をつけなさい」と父親からよく注意を受けていたという。
「サンゴで怪我をすると跡が残っちゃう。“オキナワンタトゥ”と沖縄のサーファーは言います。子どものころは、ちょっと怖かったですね」
とはいえ、潮、うねり、風のタイミングを見計らえば波は極上。周囲に点在するピークから好みの場所を選んで、楽しいサーフタイムを1年中満喫できる。あたたかい海水の透明度は抜群。波待ちをする足もとにはサンゴの森が広がり、カラフルな熱帯魚が泳ぐ。南の島、沖縄の青く美しい海での波乗りは格別だ。
和真と有沙の両親はサーファー。父・豊和さんは北谷町(ちゃたんちょう)で『ハードリーフ』という名のバー&サーフショップを営み、沖縄サーフライダー連盟の理事長を務めていた。そんな恵まれた環境のもとで育った2人は、ともに若くしてプロサーファーの道を歩む。だが、島でのサーフィンの楽しみ方はそれぞれ違う。
「和真はいろんな波を探して入る。すごく攻める感じ。でも私は、人の少ないところでのんびりやっています。みんなと時間をずらして、めちゃくちゃ浅いときに入ったり」と、大人になった有沙は笑う。
和真の行動範囲は沖縄本島だけにとどまらない。その日のベストウェーブを求めて、大小さまざまな離島まで足を伸ばす。
「波が上がれば、飛行機や船に乗って出かけます。沖縄本島とは違って島が狭い分、地形の角が多い。そこにうねりがラップしてきれいに入ってくる。だから本島では味わえないロングウォールの波もあるんです」
「プロツアーで優勝することが目標。プロの大会の優勝トロフィを沖縄に持ち帰った人がまだいないんです。それをぜったいに叶えたい」©Naoya Kimoto
このように、沖縄のサーフィンはとても多様だ。胸が高鳴るようなチャレンジもできるし、メローになごむこともできる。離島も含めて、無数に存在するグッドウェーブ。なかでも島のサーファーたちにひときわ愛されているサーフポイントがある。それは、和真と有沙が暮らす北谷町にある『砂辺』。2人のホームであり、沖縄のサーファーたちのステージだ。米軍基地がすぐそばにあり、海辺の遊歩道に沿って多国籍なお店が立ち並ぶ。海岸線に低めに設置された防波堤は座って海を眺めるのにうってつけ。砂辺はサーファーのみならず、沖縄に暮らす人々みんなが愛してやまない海なのだと有沙が教えてくれた。
「サーフィンをしない友人は夕陽を見ながらゆっくりしていて、私は波に乗る。スケートパークもあるし、子供連れの家族が過ごせるスペースもある。違うことをしていても、同じ海での時間を誰もが一緒に楽しめるんです。その雰囲気がすごくいい」
和真はこう続ける。
「サーファーと、海を見に来るギャラリーとの距離が沖縄で一番近い。そして、サンセットサーフが沖縄で最も気持ちいい。ピークの延長線上にきれいに太陽が落ちていくんですが、日本一の夕陽だと思っています」
最近、2人を取り巻く環境の変化は目まぐるしい。深い悲しみもあった。沖縄のサーフシーンの中心的役割を果たしていた父・豊和さんが急逝したのだ。
「お父さんはみんなを照らす太陽のような存在でした。サーフィンをテーマに人と人とを繋げていく。一緒に波乗りをしたり、お酒を飲んだりして繋げていく。その偉大さをすごく感じています」と和真は父なき今の心境を語る。いっぽう有沙は「『楽しそうだな』ってずっと思ってました」と懐かしそうに振り返る。
「サーファーにもサーフィンをやらない人にも『プロサーファーの宮城有紗だよね』って知ってもらえるような、格好いい存在になりたいです」©Hitoshi Onaga
「でも、なんでも引き受けすぎだった。全部イエスでノーがない。悪いことではないけれど、それで『どうしよう、どうしよう』ってなって、私たちが八つ当たりされたり(笑)。だけど、それがお父さんのいいところだったなって思う」
ここ数年で沖縄を訪れる旅行者がいちだんと多くなった。SNSの発達によって島の美しい海の写真が世界中に拡散されたことが最大の要因だ。加えて、働き方の自由度が高まったコロナ禍を機に移住者も増加。そうして沖縄でサーフィンをする人がいっきに増えた。この変化に対し、ハードリーフを窓口に兄妹はアクションを起した。サーフィンのガイドツアーを始めた和真の考えは明るい。
「サーファーが増えれば、トラブルも増える。そうすると“沖縄のサーファー”というひとくくりで印象が悪くなる。だから本土から来る方にサーフタイムのことなど沖縄でのサーフィンのルールを伝えて、ローカルの方とちゃんと繋げて、みんなが楽しめるようにやっていく。そうすれば、環境をよりよくできるチャンスなのかなと思って」
有沙も兄と志を同じく、初心者に向けたスクールをメインに活動。そして、“沖縄の子たちの憧れになれたらうれしい”と自分を磨く。
たんなるサーフィンの楽しみを超えて、地元の文化と自然との調和を象徴する宮城兄妹の物語。人々と絆を深め、海の恵みを分かち合う。そのあたたかい心にこそ、沖縄ならではのサーフィンの魅力が宿っている。
宮城 和真
1999年7月6日生まれ。2017年、沖縄初の高校生プロサーファーとしてプロデビュー。国内外のコンテストを回りながら、父親から受け継いだバー&サーフショップ、ハードリーフを営み、沖縄のサーフシーンを盛り立てる。
宮城 有沙
2000年6月22日生まれ。2019年、JPSAプロテストに合格。沖縄県初の女性プロサーファーとして、ウィメンズサーフィン界のアイコンとなるべく腕を磨く。兄・和真とともにコンテストに参戦、そしてハードリーフを支える。
SALT...#02より抜粋
「SALT…Magazine #02」 ¥550
SALT…#02は待望のタブロイド版!沖縄に根付く“自然に寄り添う”のではなく“共に生きる”というマインド。
SALT…ならではの視点で新しい沖縄の魅力をトータル24ページにわたってお届けします!
photography _ Atsushi Sugimoto text _ Jun Takahashi
フランス・ビアリッツ出身のカリスマロングボーダー、マーゴ・アハモン・テュコと妹のエメ、マーゴの幼馴染のアマヤの3人が2021年に立ち上げた、女性だけのサーフコンテスト「Queen Classic Surf Fest」(以下、QCSF)。世界中のスタイルのある女性サーファーを招集し、ミュージック、アート、スケート、サーフィンを通じて、女性サーファーの地位向上、LGBTQ+、フェミニスト、環境問題などを発信するイベント。市の後援やVANSが冠スポンサーとなり、夏のビアリッツの一大イベントへと成長した。このコンテストに日本から唯一、高校2年生のアマチュアロングボーダー間瀬侑良夏(ませゆらな)がクレジットされた。憧れのロングボーダーが集う夢の世界。いつかは出場したいと思い続けていたある日、それは現実なものになった……。この特集は、夢の切符を手に入れた間瀬侑良夏が綴ったイベントの記憶。最終回の今回は、ついにコンテストが終了。憧れのコンテストに参加して得たもの、そして繋げる未来への想い。
コンテスト最終日の朝。
今朝はかなり冷え込んでいる。選手たちとコールを待つ間、あまりの寒さに熱々の紅茶を8杯もおかわりしてしまった。
ようやく海面に陽が射し始め、ローラ・ミニョンのヒートがスタートした。サイズダウンした小波でもスタイルを崩さないローラの美しいバックサイドに、会場からため息が漏れる。セミファイナルからはチーム全員がクレジットされ、文字通りチーム対抗戦となった。
チームでのヒートはとても心強く、お互いのライディングを見守って声を掛け合う。私が失敗しても後ろからニエンケ・デュインマイヤーがコンプリートでカバー。アウトへ戻るとアンブル・ビクトワールが「惜しかったね!」とウィンクしてくれる。ショートボードのリーアン・カレンが離れたピークで決めると手を挙げて喜ぶ。相手チームもまた同じように。
マリーナ・カーボネルの可憐なスイッチスタンスに目を奪われていると、今日一番のセットの波をカリーナ・ロズンコが掴んだ。見事なコンビネーションを決めるとギャラリーはもちろん、チームの枠を超え選手全員がカリーナに歓声を送った。
残り時間が少なくなり、やっとコンプリートした私がピークに戻ると、アンブルがパーティウェーブをしよう! と合図を送ってくれた。チーム皆んなでパドルしてテイクオフ! 手を繋ぐことはできなかったが、この瞬間4人の心は繋がった。
エンドコールがかかった。憧れの彼女たちと同じ海で、隣で、声を掛け合い、歓声を送り合い、ハグを交わす。夢みたいという言葉さえチープに感じてしまうほど感動した。
そして、ラウンドアップコールは「チームレッド!」
昨夜密かに更新した夢を心の中で確認しながらパドルアウトする。QCSF2024のファイナルヒートが始まった。ファーストコールから最初のセットを掴んだリーアンが流れるようにボードを走らせ、会場を沸かせる。後に続けと、他のメンバーも潮が上げてブレイクしづらくなった波に次々とテイクオフしていく。私もアンブルとシェアライドして2人でノーズを決める。選手たちのハイレベルで美しいライディングと雰囲気に後押しされ、自分の実力以上のライディングができていることに驚いた。
相手チームが全員でのパーティウェーブをメイクし、会場から歓声が響いた。リーアンがボードを変えに走り、戻ってくると会場はさらに盛り上がる。残り時間はあと少し、パーティウェーブタイムに突入した!
会場から声援が聞こえ、海の中では選手たちがBGMに合わせて口ずさみ、笑顔が絶えず溢れていた。この時間がずっと続いてほしいと思っていたが、ついにエンドコールがかかり、終了。ホーンに合わせて皆んなで海面を叩いて水しぶきを上げる。アバのダンシング・クイーンが流れ、最後の波を待ち、8人全員のパーティウェーブでフィナーレを飾った。
たくさんの拍手と歓声で迎えられ海から上がるとビールが手渡され、ファイナリスト全員で乾杯とハグを行う。記念撮影を済ませ、結果は今夜のパーティで発表される。
午後もイベントは続き、マイノリティの人々にコミュニティや繋がりを提供しているCLUB DE SURF QUEERによる、LGBTQ+のサーフセッションやアームレスリング大会、女の子だけのスケートチームSKATEHERとVANSチームライダーによるコンテストが開催。さらに映画配信サービスMUBI主催による、トップアスリートが社会問題を公の場で発言するリスクと影響についての公開討論会が、地元のラジオ局DIA RADIOやポッドキャストから配信された。
陽が傾き始め、再び選手たちが集合。美しいオレンジ色に染まった会場で表彰式が始まった。より多くの波をメイクし、素晴らしいライディングでチームを盛り上げたマリー・ショシェとメイシー・マチャドにサーフボードが贈られ、その影響力からQCSFには欠かせない存在となったサーシャ・ジェーン・ロワーソンへ「ゴッド・マザー賞」が贈られた。
そして優勝チームの発表。ステージ裏の私たちに司会のアンブローズ・マクニールさんの声が響いた。
「チーム、レーーーッド!」
大興奮でステージへ上がると賞金、トロフィーが手渡され、マイクまで回ってきた。頭が真っ白になり会場の声援がだんだん遠のいていく。ヒートに向かうより緊張したが、アンブル、リーアン、ニエンケに続き、たどたどしくも今この瞬間の喜びを伝えることができた。会場からも拍手が贈られ、夢心地のまま今年のクィーン・オブ・クィーンズの発表を聞く。
高いスキルと華麗なスタイルを持ち合わせた正真正銘のクィーン。誰もが納得のエクセレントスコアを出した、カリーナ・ロズンコの名前が呼ばれた。ステージに上がり「ここにいるみんながクィーンよ!」という彼女の第一声に感動して鼻の奥が痛くなった。
陽が沈み、真っ暗になるまで写真を撮り、称え合い、誰からともなくQCSFに参加できたこと、皆んなに出会えたこと、また再会できることを願ってハグをした。カリーナは王冠を私の頭に被せてくれて、チームのメンバーはトロフィーを譲ってくれた。終わってしまうのが寂しい。ここにいる全員がこのコンテストは特別なものだと思っていることが伝わり、私の新しい夢のビジョンが見えた気がする。
そして大盛り上がりのDJタイムを少しだけ楽しんだ後、ヴィラ・ベルザに別れを告げた。
翌日、エルワンさんを通じて知り合ったフランス在住28年の西野渉さんにお願いして、QCSFのヘッドジャッジを務めたスタイルサーファー、クロヴィス・ドニゼッティさんとお話する機会を得た。カフェで待ち合わせ、コンテストでの私のライディングや今後のアドバイス、そして“スタイルサーファー”について貴重な話を聞くことができた。ここでの話は私の中の引き出しに大切にしまっておく。いつか自分の言葉で話せるときがくるまで。
ビアリッツでの奇跡のような日々が終わり、帰国のときがきた。ヒーローの住む街ビアリッツ。飛行機の窓から小さくなっていく街を眺めながら色々と思う。
イスラエル軍に空爆されたパレスチナ・ガザ地区で最初の女性サーファーである、ラワンド・アボ・ガーネムさんとその家族を支援するため、リーアンがボードを削り抽選会を行ったこと。ラワンドさんの従妹が夏に湘南で上映されたドキュメンタリー映画『ガザ・サーフ・クラブ』に登場した少女であること。そしてパレスチナに根付く男性優位の考え方から女性の教育、海へ入ることなど自由が制限されているということ。
サーシャ・ジェーン・ロワーソンが初のトランスジェンダー・サーファーとして優勝したとき、サーフコミュニティから否定的意見にさらされたこと。サーフィンの世界に限らず、女性蔑視やLGBTQ+の人たち、マイノリティに対する偏見や嫌悪が少なからずあること。
憧れのサーファーが出場していなければ、これらのことは知らなかったかもしれないし、興味を持たなかったかもしれない。このコンテストを作ったのが女性たちであることが嬉しく、憧れる。
QCSFでは、マイノリティであることや多様なアイデンティティが受け入れられ、人種や言葉の壁を越えて一人ひとりがお互いを認め、敬意を払っていると実感した。
女性を撮り続けている写真家のアンジー・ゴンザレスさんとMexiLogFest以来の再会を果たし、光栄にもポートレートを撮ってもらい、女性の強さや美しさ、母性を表現したいという彼女の放つエネルギーにもパワーをもらった。
私のような経験の浅いサーファーがトップサーファーと同じ舞台で肩を並べ、そのスタイルを学ぶ機会、新しい世界を知る機会を与えてくれたQCSFに感謝をしたい。そしてQCSFの波が世界中へ届くことを心から願う。
母、家族、私を応援して支えてくれている多くの人の助けによって夢のひとつを叶えることができた。そして新たな夢を見つけることも。感謝の気持ちが溢れて胸が熱くなる。
トム・カレンの娘であるリーアンやロブ・マチャドの娘であるメイシーなど、世代を超えてカルチャーが受け継がれていく。私がサーフィンと出合い、SNSや憧れの女性サーファーたちからインスピレーションを受けたように、私もいつの日か誰かに影響を与えられるようなサーファーになりたいと、強く思った。
ここで見たもの、出会った人々、得た力は間違いなく私のサーフィンの、人生の旅を豊かにしてくれた。
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高校2年生/アマチュアロングボーダー
TAG #Queen Classic Surf Fest#サーフコンテスト#間瀬侑良夏
ビラボンの公式サイトでは、サーフィンのコアに迫るコンテンツ「#BILLABONGCORE」を公開中。
Vol.2に登場するのは、世界を股にかけるウェイブハンター、松岡慧斗。
ヘビーな波に惹かれるようになったきっかけから、次世代への思い、誇るべき日本の波、自分を貫く生き方をインタビュー。
さらに、2019年に日本人初の「ウェイブ・オブ・ザ・ウィンター」を獲得し偉業を達成するも、その後には苦悩が待ち構えていた胸の内を語る。
インタビューの全文はBILLABONGの公式サイトに公開されているのでチェック!
BILLABONGCORE Ver.2.0 Vol.2 松岡慧斗
TAG ##BILLABONGCORE#BILLABONG#松岡慧斗
プロロングボーダー田岡なつみとフォトグラファーのナチョスは、2022年秋、2023年冬、同年春の3回、北海道・利尻島などに赴き、過酷なサーフィン撮影に臨んだ。その様子は創刊号のSALT...で「美しき白の世界の物語」と題し8ページにわたって特集しているが、実はこのときの撮影の主役は映像であり、出来上がった作品は『MAHOROBA』と名付けられた。
同行スタッフはゼロ。特別な機材はなく、ふたりきりで構成から撮影、編集まで行い、30分のドキュメンタリー作品として完成した。ナチョスは、日本のサーフシーンを世界に知ってもらいたいと、ロンドン、スペイン、ニュージーランド、カリフォルニア、イタリア、ポルトガル、ハワイの映画祭に作品をエントリー。最初に送ったロンドンの映画祭は落選するも、2024年1月、バスク映画祭からノミネートの連絡が届いた。360作品がエントリーしたというから、その倍率は10倍以上だ。
その後、世界中のサーフィンフィルムフェスティバルで上映され、満を持して日本での上映が決定した。場所は渋谷の「ヒューマントラストシネマ渋⾕」。巻末に詳しい情報を掲載するが、ここでは7月26日発売のSALT...#02でインタビューした「映画を作ろうと思ったきっかけ」や「映画祭に参加した感想」などを掲載。ふたりの思いを知ることで、映画の見方も変わるはず。
2024年2月、田岡なつみとナチョスはスペイン・バスクの映画祭にいた。上映前「日本からスペシャルゲストが来ています!」とMCから突然のアナウンス。スクリーンの前に呼び出され、作品や日本の女性のサーフシーンについてインタビューを受けた。終了後も世界各国のメディアから質問攻めにあい、多くの人が日本のサーフィンに興味を持っていると、ふたりは改めて確信した。
「日本のサーフィン、しかも雪が舞う中でのサーフィンを、真剣な眼差しで観てくれていました。でも一番印象に残っているのは、なっちゃんのサーフィンの上手さにみんな驚いていたことかな」
田岡なつみは、世界で活躍する日本で1番、いや、アジアで1番のロングボーダーだが、実はショートボードのプロ資格も持っている実力の持ち主。作品の中ではロングボードだけでなく、華麗にミッドレングスを乗りこなす姿も収められている。
話は戻るが、そもそもふたりはどういったきっかけで映画を作ろうと思ったのか?
「海外の選手やフリーサーファーたちが、日本の波のポテンシャルや素晴らしい文化に気づき、たくさん撮影に来て発信しているにも関わらず、日本人が全く発信できてないことに気づいたんです。私たち日本人が、日本の良いところをきちんと発信しなきゃって。実際、日本のサーフシーンが、こうやって世界をまわるのは初めてじゃないかな?」
田岡のコメントに対してナチョスは「パンデミックで海外に行けなくなり、日本を旅することが多くなったんですけど、行く先々で“あぁ日本は素敵なところがいっぱいで、もっと見てみたいな”って思ったんです。あと映画祭についても、これまでは人の作品を観に行ってたんですが、“自分が撮った作品と一緒に行きたい”と思うようになったんです」。
期せずしてふたりの気持ちとやりたいことのタイミングが一致し、『MAHOROBA』は誕生した。日本ではあまり馴染みがないサーフィンの映画祭だが、世界各地では毎年行われている恒例のイベント。ノミネート作品も多種多様で、ライディング中心のモノから有名サーファーをフィーチャーしたドキュメンタリー、海・サーフィン・スケートを通じての教育系、地元愛あふれるローカル作品からナザレやカムチャッカの山を越えて旅する壮大なものまで、様々な作品がラインナップ。20分前後を基準にショート編とロング編に分けられ、英語の字幕が必須というのがレギュレーションとして設けられている。審査員も映像関係者から人気のクリエイターまで幅広いのが特徴だ。イベントは複数日間かけて行われ、フィルムの上映以外にアートエキシビジョンやライブ、スケートボードのデモンストレーション、トークショー、海や自然をテーマにしたワークショップなどが併催されている。
多忙な合間を縫って訪れたバスクの映画祭。参加した感想をふたりはこんな風に語っている。
「スペインではアジア人が珍しいこともあって、たくさんの人に声をかけてもらえました。作中に登場する日本食や温泉のシーンにざわついたり、これぞ“ニッポン”というものを伝えられたのはよかったと思います。また、他の映画祭で作品を見た人から、日本に行ってみたい、サーフィンしてみたいっていうメッセージをもらえたのが嬉しかったです。これからも作品を作り続け、日本のいいところをたくさん発信していきたいと思います」(田岡)
「現場の空気感や盛り上がりは、実際に訪れてみて初めて知ることができました。オーガナイザーや審査員から、このシーンが良かったなど、意見を聞けたのもとても勉強にもなりました。わたしはイタリア・ミラノのイベントにも参加したのですが、スペインとは雰囲気や形式が違っていて、いい刺激になりました。この作品をきっかけに海外に挑戦しようと思う日本人が増え、その後押しをすることが出来たら最高に幸せです!」(Nachos)
最終的に10カ国の映画祭からノミネートされた『MAHOROBA』(2024年7月12日現在)。ドライスーツ片手に極寒の北海道を訪れ、ふたりキャンプしながら波を探した日々。「楽しかったけど、めちゃくちゃ過酷でしたぁ」と笑いながら当時を振り返るが、そこはふたりにしか分からない厳しさがあったはずだ。かっこよく撮る、素敵に写すなど言ってられない状況の中、いま目の前にあるものをありのままドキュメントした結果、世界の共感を得ることができた。
「誰かがやったことを真似するんじゃなく、自分がやりたかったことをやる。自分に正直に、責任を果たす。その重圧に負けそうになることもあるけれど、そういうのも嫌いじゃないってことにも気が付くことができました。これからもっといい作品を作り、表現の場を増やしていきたいです」
ナチョスのまっすぐで力強い言葉。これからの日本のサーフィン映画の未来に期待したい。
スペイン・ビルバオ映画祭のオープニングパーティにて。パネルの前でワクワクしながらの記念写真
上映前にサプライズで呼ばれて登壇。緊張しながら日本の女性のサーフシーンについて語る
イタリア・ミラノの映画祭。立ち見が出るほど人が集まり、上映後は拍手と“Beautiful!”の歓声が
photography_Nachos
SALT...#02より抜粋
【MAHOROBA ジャパンプレミア上映】
⽇時:2024年11⽉18⽇(⽉)
第1部:17:00開場/17:30上映開始
第2部:18:30開場/19:00上映開始
※各会終了後、「カフェ347」で行われる懇親パーティに参加いただけます
場所:ヒューマントラストシネマ渋⾕シアター2
住所:東京都渋⾕区渋⾕1-23-16 ココチビル7F
座席:全席⾃由席
チケット代:2,000円(税込/2ドリンク付)
※ドリンクチケットはパーティー際に3Fカフェ347で利⽤可能です
※チケットの購⼊はこちら
TAG #ROXY#サーフムービー#ナチョス#まほろば#田岡なつみ
フランス・ビアリッツ出身のカリスマロングボーダー、マーゴ・アハモン・テュコと妹のエメ、マーゴの幼馴染のアマヤの3人が2021年に立ち上げた、女性だけのサーフコンテスト「Queen Classic Surf Fest」(以下、QCSF)。世界中のスタイルのある女性サーファーを招集し、ミュージック、アート、スケート、サーフィンを通じて、女性サーファーの地位向上、LGBTQ+、フェミニスト、環境問題などを発信するイベント。市の後援やVANSが冠スポンサーとなり、夏のビアリッツの一大イベントへと成長した。このコンテストに日本から唯一、高校2年生のアマチュアロングボーダー間瀬侑良夏(ませゆらな)がクレジットされた。憧れのロングボーダーが集う夢の世界。いつかは出場したいと思い続けていたある日、それは現実なものになった……。この特集は、夢の切符を手に入れた間瀬侑良夏が綴ったイベントの記憶。第3回目の今回は、いよいよコンテストがスタート。チーム戦での戦いとなったが、果たしてその結果はいかに!?
ついにコンテストの朝を迎えた。
選手集合時間の7時はまだ夜明け前のビアリッツ。街頭に照らされた寒い街を会場まで歩く。ステージ裏で温かい紅茶とクロワッサンを受け取り、昨夜会えなかった選手たちと挨拶を交わす。昨年「MexiLogFest」のコンテスト中に流してしまったボード(ノーリーシュがルール!)を泳いで取りに行ってくれたマリー・ショシェとの再会。HOTDOGGERに掲載された記事はマリーが書いたもので、ビアリッツと私を繋いでくれた恩人。イタリアからクレジットされた最年少のジンジャー・カイミにエルサルバドルでの勇姿を称え、可憐で美しいサーフスタイルに魅了され続けている憧れのサーファー、マリーナ・カーボネルとハグをする。信じられない! さらに、選手全員にバッグやサングラス、キャップ、G-SHOCKなど協賛メーカーのグッズが手渡された。昨夜からの興奮続きで胸が熱くなった頃、ビーチにエリアフラッグが立てられた。いよいよコンテストが始まる。
QCSFの掲げる「インクルーシビティ(包括性)」のもと、ロング、ショートのトップサーファーと一緒に4人1組のチームが編成された。私は光栄なことにVANSライダーのリーアン・カレン、2022年「Joel Tudor Duct Tape」優勝者のアンブル・ヴィクトワーレ、オランダのプロサーファー、ニエンケ・デュインマイヤーと同じチームに!
各チームから2人ずつクレジットされ、8人の30分ヒートがスタートした。ここバスク地方出身で現在はオーストラリアを拠点にしているローラ・メイヤーのヒートから始まり、ジンジャーのヒートへと続く。
30分後には私の夢の舞台が幕を開ける。
寒さからか、緊張からなのか分からないが、ワックスを塗る手が震える。そんな私にMCのアンブローズ・マクニールさんが話しかけてくれた。彼は以前オーストラリアでサーフィンをしていたときに海で声をかけてくれた人で、おかげで笑顔を取り戻すことができ、ビブスに袖を通した。深呼吸をして、鼓動に合わせるようにヴィラ・ベルザが見守る海に向かって階段を降りた。水中カメラマンの多さに怯みながらも海面には日差しが届き、少しほっとする。私はリーアンとクレジットされ、さらに大好きなカリーナ・ロズンコと同じヒート! 振り返るとずらりと並んだギャラリーの数に驚く。こんなにも注目されているコンテストに参加しているんだと改めて震える。
カウントダウンが始まった。
ホーンと共にオープニングを飾ったのはリーアンだった。サイズダウンしたログ波なのに、ショートボードで板を走らせる姿がとてもスタイリッシュ。BGMのボリュームが上がり、アレサ・フランクリンの曲に合わせてテイクオフをした後は、もう楽しくて仕方がなかった。
プライオリティやマキシマムはなく、海の中ではどの選手も笑顔で、まるでガールズトークをしているみたいにかわるがわるテイクオフしていく。1本1本の波を丁寧にトリミングしながら乗る姿がとてもキレイ。なかでもカリーナは格別で、彼女にだけ秘密の波が来ているかのように巧みにボードを操り、華麗なクラシックスタイルで魅了する。コンテストだということも忘れて見惚れている私に「パーティウェーブする?」と声をかけてくれた。シェアライドからゆっくり慎重に……手を繋ぐ! ボードに飛び移るのに失敗して2人仲良くワイプアウトしたが最高の瞬間であり、最高の贈り物となった。
個々の最高スコアでカウントされ、チーム合計で順位が決まる。私とリーアン、そして次のヒートだったアンブルとニエンケもラウンドアップした! 太陽が昇るにつれ気温も上がり、ギャラリーもさらに増えた。リパチャージで上がってくる選手を待って、次のヒートが始まる。チーム戦なので、絶対に足を引っ張りたくない! という思いと、グッドライディングができたときのリーアンからの「ナイス!」という声かけに自分でも信じられないほどのエネルギーが溢れた。きっと私史上一番多く波に乗った30分だったと思う。
潮の上げこみで少しサイズが上がったが、その後のヒートは見応えがあった。ローラ・ミニョンとホリー・ウォン、カリーナの豪華なVANSチームの競演にギャラリーから歓声が上がり、大人気のサーシャ・ジェーン・ロワーソンがダイナミックに華を添える。サーフィンファンはもちろん、観光客や地元の人など老若男女がコンテストを楽しんでいる雰囲気に、ここに居られることがとても誇らしかった。
満潮を迎えビーチへ下りる階段は封鎖された。ラウンドアップできていれば明日のセミファイナルへと進むことができる。どうかあがっていますように!
海を眺めながら遅めの昼食をとり、会場をまわる。スケートランプでは女の子だけのスケートボードチーム「SKATEHER」による体験スクールや、「FAKE HAIR DON’T CARE」のヘアドネーションができるブース、乳がん予防のための自己検診を呼びかけるブースに目を引かれた。夕方からはスケートコンテストも開催され、各所に置かれたクッションの上で思い思いに過ごしていた。飲食ブースも充実していて、生牡蠣のプレートにワインを楽しむ人、アサイーボウルも美味しそう。緊張から解放されたせいか眠くなってきたので、ホテルに戻ってひと休みすることにした。
18時ではまだ陽が沈む気配のないビアリッツ。潮が引き、海にはたくさんのサーファーがファンウェーブを楽しんでいる。マーゴが入っているのが見えたので急いで着替えて海へ走った。残念ながらマーゴとは入れ違いになり次のお楽しみとなったが、ジャッジのマルタ・ベレングレや何人か選手たちが入っていて、みんなで声をかけ合いながら波をシェアするなど、嬉しいサンセットセッションとなった。
海から上がると生演奏によるカラオケタイムで会場は大盛り上がり! 夕食を受け取りスマホをチェックすると、セミファイナルのヒート表が送られてきていた。願いを込めて名前を確かめる。
「あった!」と叫ぶと同時に、母に抱きついていた。
ブルーモーメントの美しい空に明かりが灯ったヴィラ・ベルザを眺め、密かに夢のリストを更新した。
Vol.4に続く……。
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高校2年生/アマチュアロングボーダー
TAG #Queen Classic Surf Fest#サーフコンテスト#間瀬侑良夏
フランス・ビアリッツ出身のカリスマロングボーダー、マーゴ・アハモン・テュコと妹のエメ、マーゴの幼馴染のアマヤの3人が2021年に立ち上げた、女性だけのサーフコンテスト「Queen Classic Surf Fest」(以下、QCSF)。世界中のスタイルのある女性サーファーを招集し、ミュージック、アート、スケート、サーフィンを通じて、女性サーファーの地位向上、LGBTQ+、フェミニスト、環境問題などを発信するイベント。市の後援やVANSが冠スポンサーとなり、夏のビアリッツの一大イベントへと成長した。このコンテストに日本から唯一、高校2年生のアマチュアロングボーダー間瀬侑良夏(ませゆらな)がクレジットされた。憧れのロングボーダーが集う夢の世界。いつかは出場したいと思い続けていたある日、それは現実なものになった……。この特集は、夢の切符を手に入れた間瀬侑良夏が綴ったイベントの記憶。第2回目の今回は、コンテスト前夜のレセプションパーティまでの様子お届けします。
周りの人のたくさんの助けによって、無事ビアリッツ滞在がスタートした。私のヒーロー、エルワンさんとランチをする前にコンテスト会場であるコート・デ・バスクをチェックしに行ってみる。白壁に鮮やかな色のコロンバージュ(木組み)の建物がずらり。ここバスク地方のコロンバージュに使用できる色は、赤、緑、紺の3色と決まっているそうで、なるほどこの美しい景観が守られている理由が分かった。
通りを抜け、小さな交差点を渡ると、目の前に大西洋が広がった。100段以上の石造りの階段とビーチへと続く長いスロープ。岬の先にはコート・デ・バスクを象徴するヴィラ・ベルザが佇む。何度も見返したリール動画の景色が目の前にある事実と、芸術的なヨーロッパの海に言葉を失った。
コート・デ・バスクは潮が満ちてくると波のブレイクがなくなり、階段やスロープも海に沈んでしまうためサーフィンのできる時間帯は限られている。ビアリッツは朝明るくなるのは遅いが、夜は暗くなるのが遅い。9月も9時近くまで明るく、真夏だと10時ごろまでサーフィンができるそう。なんて羨ましい環境だ!
海岸にはレストランやサーフショップ、ボードレンタルのテントが並び、ボーダー柄のテントがいちいち可愛い。会場エリアまで歩くと併催のスケートボードランプが設置されており、コンテストの準備が進められている様子に心拍数が上がる。 数日後にはこの会場でQCSFがスタートする。息を大きく吸い込んでみる。緊張よりもワクワク感が勝っていた。
エルワンさんのオフィスを訪ねて編集部を紹介してもらった後、人気のレストランでランチをご馳走になった。満腹になった後は腹ごなしに市内を散歩し、欲しかったエスパドリーユや水着を物色。そうこしているうちに潮周りが合うタイミグになり、海に向かった!
サーフボードを片手に街を歩き、長いスロープを降りてヴィラ・ベルザへ。その一歩一歩に感動する。陽が傾きはじめた海へゆっくりとパドルアウト。上からは小波に見えたが、時折入るセットは肩くらい。波待ちしながら眺めるヴィラ・ベルザがあまりにも美しく、胸が震えた。この感動はきっと一生忘れない。
ビアリッツの天気はコロコロと変わる。翌日は朝から雨と強風で、とにかく寒い一日となった。海もノーサーフコンディションなので周辺を散策し、中心に位置する市場「Halles de Biarritz」へ。体育館のような2棟の建物の中に新鮮な海鮮や色とりどりの野菜、それにパンやハム、チーズ、スイーツも! 目が忙しくなる品揃えですべてが美味しそうに見えた。カフェやバー、イートインスペースもあり、2階には購入したものを楽しめるテーブル席が並んでいた。
翌日、天気のせいでほんのわずかな時間だったが、ヴィラ・ベルザをバックにフォトグラファーのロマン・ラフューさんと水中撮影に臨んだ。心地良い緊張感から始まり、最後は笑顔でハイタッチの楽しいセッションに。撮影した写真はHOTDOGGER 10月号に掲載される予定なので楽しみだ!
そしてこの日はQCSFの招待ホテルへ移動する日。彼は次の仕事があるというのに、荷物をホテルまで運んでくれた。ビアリッツはヒーローが住む街らしい。チェックインを済ませ、シャワーを浴びてひと息ついた。今夜から3日間、いよいよQCSFが始まる。
5時から入場が開始。会場の入り口ではセキュリティ・チェックが行われ、規模の大きさを改めて感じた。エントリー確認後、QCSFのテーマカラーであるピンクのVANSのリストバンドが巻かれた。エントリーブースに続々と選手が集まり、2ヶ月前にJULYウェットスーツのローンチイベントで来日していたローラ・ミニョンとカリーナ・ロズンコに再会。ふたりは「やったね、エントリーおめでとう!」とハグをしてくれた。そして初のトランスジェンダー・サーファーのとびきり笑顔が印象的なサーシャ・ジェーン・ロワーソンや会いたかったアンブル・ヴィクトワールなど、トップサーファーたちとも挨拶を交わした。ふわふわした気持ちのままだったが、主催者であり私を見つけてくれたマーゴにも会い、感謝とお礼を伝えることできた。
ステージ裏の関係者用のブースでは食事とドリンクが振舞われる。完璧なまでの夕陽を見ながら自分に起こっているすべてを噛みしめ、ソーダで母と乾杯した。
Vol.3に続く……。
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高校2年生/アマチュアロングボーダー
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