• 笹子夏輝 ~カリフォルニア・スタイル巡礼の旅/A PILGRIMAGE to CALIFORNIA_7
  • 2025.11.27

フリーサーファー笹子夏輝は、現状に何ともいえない焦燥感を覚えていた。どうすれば解消できるのか、何をすれば次のステージに進めるのか、その答えを探しに南カリフォルニアに旅に出た。出会うサーファーたちのスタイルと生き方にヒントを求めて……。


MITCH ABSHERE/サーフカルチャーを牽引し続ける傑物に会う

カリフォルニアに来たからには、キャプテンズヘルム トウキョウで働く者として会わなければならない人がいる。言わずと知れた本家キャプテンズヘルムのファウンダー、ミッチ・アブシャーである。実はこれが今回の旅の裏テーマだった。


夏輝にはどうしてもミッチに会って伝えたい想いがあった。
「湘南で生まれ育ちプロサーファーになった僕は、ずっと海にばかりいた。でもヘルムで仕事をするようになってからは東京のストアに通勤し、サーフィン以外の多種多様な趣味の世界にも触れて視野を広げることができた。楽しみの引き出しはたくさん増えたけれど、そこで改めて気づいたのは、やっぱり自分は海が好きでサーファーなんだということ。同時に、いま多角的なテイストで展開しているキャプテンズヘルム トウキョウのなかに、もう一度サーフィンの要素を、ミッチが打ち出したキャプテンズヘルムのコアな部分を呼び戻したい、そんな想いが芽生えてきた」
生意気かもしれないけれど、その偽らざる気持ちをミッチにぶつけたかった。
ミッチといえば、キャプテンズヘルムやキャプテンフィン、ビーチドデイズなど、さまざまなビジネスやブランドを手掛けてきた、南カリフォルニアのサーフシーンの重要人物。ジョエル・チューダー同様に早くからロングボードに乗り始め、10代前半にはドナルド・タカヤマのライダーとショップボーイになり、年配者たちから多くのことを吸収してきた。早くにコンペに見切りをつけた彼は、楽しくなければ意味がないとばかりに、自分の気持ちに正直に生きてきた。陰に日向に後進を育て、道を開く手助けをしてきたモダン・ロングボード・シーンの兄貴分でもある。またダクトテープでは初回からディレクターとして裏方に徹し、若いサーファーたちを鼓舞し続けている。

リスペクトの意思表示として夏輝が着ていったのは、ブライアン・ベントから譲り受けた初期キャプテンフィンのT シャツ

ブリクストンのファウンダーのスタダード兄弟やミッチらが新しく始めたアイウエア・ブランドDECADE

夏輝が心酔して止まない、強烈にSo-Cal 感を漂わせるヘルムの世界観

古着の商品は毎日入れ替わるので、滞在中に何度足を運んだことか

ミッチはいま、仕事のあるカリフォルニアと家族と暮らすテネシーとのデュアルライフを送っている。だからカリフォルニアにいるときは実に忙しい。それでも彼は夏輝のために時間を作り、オーシャンサイドのキャプテンズヘルムのストアで温かく出迎えてくれた。夏輝はキャプテンズヘルムのオリジナルのコンセプトへの敬愛やこれからのビジョンを熱く語った。大事なのは語学力ではなく熱意。その想いはミッチにしっかりと届いていた。これまでも才能とやる気のある若手にチャンスを与えサポートしてきたミッチ。「やりたいようにやってごらん、できることがあれば何でも協力するから」。どうやら夏輝のことを気に入ったよう。ふたりは徐々に打ち解け、最後はヘルムでショッピング。ミッチ自らが夏輝にあうものを選んでくれた。
何かアクションを起こしたい、そう旅の前に語っていた夏輝。「これはそのアクションの最初の一歩。これからが大事。ミッチに認めてもらえるように結果を出していきたい」 
この瞬間、夏輝の腹は決まった。


長くS.Coast Hwy 沿いにあるストアはオーシャンサイドを代表する存在だ

店内の一角にはミッチの親友が運営するコーヒーショップが。一息つける場所が、またコミュニティを惹きつける

キャプテンズヘルムでミッチ・アブシャーと会う。それが夏輝にとってどれだけ意味があることか。上手く語れたかどうかはわからないが、これからのプロジェクトの起点になったことは間違いない

Mitch Abshere

Founder of Captain’s Helm

南カリフォルニアのサーフカルチャー、モダン・ロングボード・シーンにおいてもっとも影響力のあるサーファーのひとり。プロデューサーやディレクターとして若い才能にずっと光を当ててきた。さまざまな映像作品から雑誌「Beached Days」まで手がけたメディアも多数。

photography & text _ Takashi Tomita

>>SALT...#04から抜粋。続きは誌面でご覧ください

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