海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Sophie Fletcher ソフィー・フレッチャー
オーストラリア・フィリップアイランド出身。フリーサーファー兼グラフィックデザイナー。世界中を旅しながら、サーフィンとアートを通じて“自由に生きる”ことの魅力を発信している。
あなたのことについて教えて
生まれ育ちは、オーストラリア・ビクトリア州南部にあるフィリップアイランドという場所。両親がサーファーだったから、物心ついた頃から海がすぐそばにある生活をしていた。11歳のときに本格的にコンテストに出るようになって、地元のボードライダーズクラブや州の大会、国内の大会などに出場してた。その後、約5年間はWSLのQS(予選シリーズ)を転戦してて、いろんな国を旅しながら試合に出てた。2020年のパンデミックで旅が制限され、大会に出る機会は減ったけど、今でもフリーサーファーとして旅をしながら波に乗ることが生活の一部となってる。
今はゴールドコーストとバイロンベイの間にあるキャバリタという町に住んでいて、グラフィックデザイナーの仕事をしながら、“サーフィン × 旅”のライフスタイルを楽しんでる。


デザインを始めたきっかけは?
子供の頃から絵を描いたり、何かをデザインすることは好きだったんだけど、5年ほど前、友人のサーフボードにマンダラアートを描いたら予想以上にうまくできて、周りの反応もすごくよかった。そうしたきっかけが後押しとなり、パンデミック中に自分のウェブサイトを立ち上げて、本格的にデザインを仕事にしていくことにしたの。
そのあとNSWへ引っ越したタイミングで、地元のマーケットに出店し始めて、自分でデザインしたステッカーやポストカードを売るようになったの。そういう場所では、感覚を持った人々と出会うことができたし、今もその出会いの一つひとつがわたしの糧になっている。マーケットでの販売は、今でもわたしの大切な活動のひとつ。作品を手に取ってくれた人と直接話ができ、その場でリアクションをもらえることが何より嬉しい。この仕事は、わたしにとって“趣味の延長”のような感覚でもある。好きなことを形にして、それを誰かが喜んでくれる今の環境には、心から感謝している。



サーフィンのキャリアと現在のスタイル
QS時代は、世界中を旅しながら試合に出る日々が本当に楽しかった。その一方で、いつも旅費や滞在費のことを考えながら行動しなければならず、時には勝つために戦略的なサーフィンを求められることもあった。プレッシャーの中で戦うのは簡単ではなかった。
今でも友人の試合を見ていると、あの頃の緊張感や高揚感を懐かしく思うことがある。でも今は、賞金や順位に縛られず、自分のスタイルで波に乗る自由なサーフィンを楽しんでいる。'90年代をテーマにした大会などにも出場していて、プレッシャーから解き放たれたような感覚。今の自分には、この“楽しむことを最優先にする”スタイルがとてもしっくりきている。
これまでのサーフィン経験の中で、最も印象に残っている場所は南アフリカのJ-Bay。パワフルで長く続く波は、カービングやスナップが得意なわたしのサーフィンスタイルとぴったり合う。インドネシアも大好きな場所のひとつ。いつ訪れても完璧な波に出合えるし、オーストラリアからも近くて行きやすい。
次に行ってみたい場所はモロッコ。写真や映像で見るあのライトハンドのポイントブレイクに、一度は乗ってみたい!
あなたにとって「海」とは?
わたしにとって海や自然は、「自由になれる場所」。現代の生活では、スマートフォンやSNSが常にそばにあり、誰が何をしているか、すぐに目に入ってしまう。そうした日常から意識的に距離を取れるのが、サーフィンの時間。完全にオフラインになって、自然と一体になる感覚。それを家族や友人、パートナーと共有できることは、かけがえのない喜びだと思う。波をシェアしながら、海の中で笑い合う——そんな瞬間があるからこそ、わたしはサーフィンをやめられない。
あなたの生活に欠かせない3つのものは?
サーフィン、心から信頼できるパートナー、家族。

今後の夢や目標は?
キャリアの面では、ヨーロッパのマーケットに出店したいと思っている。過去にサーフィンの大会で訪れたヨーロッパには、美しい海と風景、そして豊かな文化がある。その地で、自分のデザインを多くの人に見てもらい、手に取ってもらえたら嬉しい。
サーフィンに関しては、これまで通り旅を続けながら、世界中の文化と波に触れていきたい。どこにいても、自然の中で自分らしくいられる時間を大切にしていたい。
サーファーへのアドバイス
初めてサーフボードの上に立てたときのフィーリングを、いつまでも忘れないでいてほしい。「バレルに入りたい」とか、「もっと鋭いターンができるようになりたい」といった目標は、とても大切。でもサーフィンには終わりがないから、ときには自分が成長しているのか分からなくなることもあるし、うまくいかずに落ち込むセッションだってある。それでも、「楽しむこと」を常にいちばん大切にしてほしい。わたしはサーフコーチの資格を持っていて、初心者と接する機会も多いけれど、彼らの笑顔を見るたびに、「自分がなぜサーフィンをしているのか」を思い出させてくれる。初心に戻れる、大切な瞬間だと思っている。
そして、仲間を見つけることもとても重要。ひとりでは気が乗らなかった波も、友達と一緒にパドルアウトすることで、思いがけないほど楽しくなることがある。そういう小さな発見や喜びが、サーフィンをもっと好きにさせてくれるはずだから。

photography_Oscar James, Kieren Tunbridge, Mikey Conlon
text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram
TAG #Ocean People#ソフィー・フレッチャー#ビーチライフ#連載
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