#エマ・ダンゾ

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/25_エマ・ダンゾ
  • 2025.12.15

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Emma Danzo エマ・ダンゾ
アメリカ出身、現在はバイロンベイを拠点に様々なブランドのマーケティングを行うクリエイティブディレクター。海と旅から得たインスピレーションを軸に、ストーリーのあるビジュアルとブランド体験を創出している。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちは、ニューヨークからクルマで45分ほどのニュージャージーにある小さな街。父がイタリア出身だったこともあり、幼い頃から家族みんなで料理をしたり、家族同士のつながりを大切にする環境で育った。旅行にもよく出かけ、毎年少なくとも一度はイタリアに帰って家族に会い、ヨーロッパ各地も旅していた。アメリカに住みながらも、アメリカとイタリア、両方の文化の中で育ってきたように感じている。
18歳のときにカリフォルニアへ移り、サンタバーバラの大学でコミュニケーションを専攻した。在学中にパンデミックが起こり、友人がサーフィンをしていたこともあって私もサーフィンを始めた。それが人生を大きく変えるきっかけになったの。
大学で学んでいたマーケティングと、夢中になっていたサーフィンを結びつけたいと思うようになり、サーフィン業界でキャリアを築きたいと感じ始めた。パンデミックを通して働き方が大きく変わり、オンラインで働くことや、ブランドがSNSを通じて人々とつながる時代に移行していくのを肌で感じていたわ。
私はデザインも写真も文章を書くことも好きだったから、SNSはそれらをすべて結びつけられる理想的な場所だった。最初はサンタバーバラにあるサステイナブルな日焼け止めブランドでフリーランスとして働き始め、その会社を通じて多くのパートナーシップやつながりが生まれ、ブランドを大きく成長させることができた。次第に、同じような仕事を依頼したいというブランドが私のもとに来るようになり、気づけば小さなサステイナブル系サーフブランドや非営利団体を中心に、自分の専門領域のポジションが自然とできあがっていたの。特に営業や宣伝をしなくても仕事が途切れず、ビジネスが自然と形になっていき、そのおかげでフルタイムで旅をしながら働く生活が実現した。
大学卒業後、家にあったものをすべて手放し、バリ行きの飛行機に乗って数ヶ月過ごした。その後オーストラリアに移住し、気づけばもう2年。バイロンベイを拠点に、バリに戻ったり、アメリカに帰ったり、ヨーロッパへ行ったり、世界中のサーフスポットをめぐりながら、仕事でつながったブランドの人たちに実際に会い、思い描いていた日々を過ごしている。

オーストラリアへの移住

幸運なことに約半年前、世界的に有名なシェフから声をかけてもらったの。ミシュランの星を持つシェフで、彼が自分の会社2社のSNSとマーケティングマネージャーとして私を雇ってくれた。その縁でビザのスポンサーにもなってくれ、この半年は私にとって大きな転機だった。
フルタイムで旅をしながらビジネスを回す生活は素晴らしい経験だったけれど、正直疲れることも多かった。多くを学び、たくさんの出会いがあり、本当に感謝しているし、やりたかったことは全部やれたと思う。これからはもう少し “普通の生活”、つまりルーティンがあって、家があって、友だちやコミュニティがあって——そんな環境の中で、オーストラリアで腰を落ち着けてキャリアを積んでいく時期に入ったと感じている。

サーフィンを始めたきっかけ

初めてサーフィンをしたのは5年前の2020年。当時、親友の友人が、子どもの頃から海に入っているような上手なサーファーの男の子と付き合い始め、その彼が一緒にサーフィンしようと誘ってくれた。その日の海はまったく怖くないコンディションで、カリフォルニアの暖かく心地いい日差しが広がる、とても気持ちいい日だった。
波に合わせてパドルして、立ち上がった瞬間の感覚を今でも覚えている。本能的に体が動いたようにスッと立てて、海との“つながり”というか、「あ、知っている感覚だ」と思うような不思議な懐かしさが一気にこみ上げてきた。海と完全につながったような感覚だった。
好きなサーファーは Torren Martyn(トレン・マーティン)。彼のエフォートレスなスタイルが本当に好き。私はミッドレングスからサーフィンを始めたので、少し大きめのボードで、しかもサイズのある波でも軽々とターンしていく姿に強く影響を受けたわ。普段はシングルフィンのミッドレングス、ツインフィン、そしてロングボードにもよく乗っている。

お気に入りのサーフスポットと次に行きたい場所

バイロンベイの “The Pass”。多くの人に愛されるスポットだけれど、私にとっては本当に“ホーム”のような場所。パドルアウトするたび、みんなニコニコしていて、混雑にイライラしている人もたまにいるけれど、顔見知りが多いからコミュニティの温かさをいつも感じる。波はいつも最高で、ほとんどどんな日でもサーフィンできるし、水は透き通っていてイルカもいて、景色も本当に美しい。ここに来ると必ず幸せな気持ちになる。
次に行きたいのは日本! バイロンベイにも日本人の友達がいて、彼らの育った場所を見に行く旅をしたい気持ちがどんどん強くなっている。


何か新しいことを始めたい人へのアドバイス

怖さや不安、「できないかもしれない」という気持ちに引っ張られるのは普通のこと。多くの人が「それは無理」「大変すぎる」と言うかもしれない。だけど、自分の情熱に従うとき、宇宙が後押ししてくれるように物事が動き始める。自分を信じ、自分のビジョンを信じ続ければ、実現する方法は必ず見つかる。
面白いことに、目標に集中してまっすぐ向かっていると、現実が少しずつ形になっていく。無意識のうちにチャンスや出会いを引き寄せ、その“現実”を自分で創っていくことができるようになる。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

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