• Skip to primary navigation
  • Skip to main content
SALT Magazine - Surf&Beach Life Style Magazine -

SALT Magazine - Surf&Beach Life Style Magazine -

海と共にある暮らしを、新しい価値観でニューノーマル=オルタナティブなライフスタイルを海をフィールドとして、新しい価値観で伝えていくメディアです。

  • SALT Magazine - Surf&Beach Life Style Magazine -
  • SURF
  • LIFESTYLE
  • SUSTAINABLE
  • CONTACT
  • ABOUT
  • ONLINE STORE

林芳史

【連載:Ride of a Lifetime】カナダからカリフォルニアまで、ヴァンで旅するサーファーの旅の記録_Episode 6/行雲流水

2025.11.12. by 林芳史

北から南へ、人と波に導かれて

オレゴンでは緑が生い茂っていたのに、カリフォルニアに入った途端に空気は乾き、木々の姿がまばらになっていった。それと同時にガソリンの値段もぐっと上がる。同じ国とはいえ、さすがは合衆国。州によって税金は異なり、物価もまるで違う。
向かったのはボーダー近くの町、クレセントシティ。セピア色にくすんだ少し寂れた街並みは、どこか哀愁を帯びている。ヴァンライフの先輩ナンシーから「治安があまり良くない」と聞いていたから、少し身構えながらクルマを走らせた。

クレセントシティから1時間半ほど南に下ったポイントのキャメルロック

知らない町に着いたら、まずはサーフショップに行くのが僕のルール。地元の情報を知るには、それがいちばん早い。町を散策していると、小さなサーフショップを見つけた。こじんまりとした店内には、センスのいいサーフボードやアパレルが並んでいる。店主に声をかけ、この辺りのサーフスポットについて尋ねた。
この町には大きく分けて2つのポイントがある。北西部のリーフブレイク、そして南向きのビーチブレイク。ウネリの向き次第でどちらも楽しめるらしい。ほかにも南のポイントや治安のことなど、ロードトリップで気になる情報を丁寧に教えてくれた。特に細かく話してくれたのは(正直あまり聞きたくなかったが)サメの話だった 笑。
オレゴンコーストから北カリフォルニアにかけては、ホホジロザメが多く生息しており、食物連鎖が活発に行われているという。つい先日も、ここから30分ほど南の河口でカヤッカーが襲われたらしい。河口には魚が集まり、それを狙ってアシカやアザラシがやってくる。そして、そこを狙ってサメも寄ってくるのだとか。ありがたい情報ではあるが、せっかく良さそうな波を見つけても、サーフィンする気が削がれてしまったのは言うまでもない。

ハイウェイ1の道中のサーフスポット。この辺り一帯はレッドトライアングルと呼ばれ、多くの海洋生物が生息する。波は良かったが誰も入ってないのでスルーした

クレセントシティ北西部のリーフポイント。右側からメローに割れる波は初心者にも優しい。沖に見える島にはアシカが多く生息していて、鳴き声がなかなかうるさい

その後、多少ウネリが入っていたサウスビーチで、偶然出会ったおじさんとサーフィンをした。日常生活では祖父母世代の人と話す機会などほとんどないが、サーフィンという共通の情熱が、年齢という壁を越えて僕らをつないでくれる。出会って間もないのに、どこか魂が共鳴するような感覚があった。
昔、友人が言っていた。「人はそれぞれ周波数を持っていて、それが合う者同士が出会う」と。まさにその言葉の通り、心地いいラジオを聴いているような感覚で彼の言葉に耳を傾け、気づけば頬が痛くなるほど笑っていた。

クレセントシティで出会ったサーファーのロブ。若い頃からアドベンチャー好きで色々無茶もしたらしい。今できることを全力で楽しむことが大切と教えてくれた

このあたりに来てから、会う人みんなに同じことを言われる。
「早く南カリフォルニアへ行け」と。
それもそのはず、北カリフォルニアもオレゴン同様、メインシーズンは冬。7月の今は、夏がシーズンとなる南カリフォルニアへ向かうべき時期だ。その後はサーフスポットをチェックしながらもサーフィンはせず、サメから逃げるように南を目指した。
ちょうどその頃、南ウネリが反応し始め、僕らにとって初めてのグランドスウェルがやってきた。ハイウェイ1をサンフランシスコへ向けて走る途中、各地のポイントでは徐々に波が上がり、それとともにサーファーの数も増えていった。どこもコンスタントに胸〜頭サイズのいい波が割れていたが、まだ“これだ!”という波ではなかった。途中妻のロングボードでもできそうな場所で1ラウンド入ったものの、そこでもローカルたちに「もっと南へ行け、サンタクルーズは今いい波だ」と背中を押された。
夢だったゴールデンゲートブリッジを渡り、ついにサンフランシスコへ入った。多くの人から観光を勧められていたが、よりによって南ウネリが重なってしまった。
――波を追うしかないじゃないか。
街中にクルマを停めておくとほぼ間違いなく盗難に遭うと聞いていたので、いくつか行きたい場所を駆け足でまわり、すぐに街を後にした。

カリフォルニアロードトリップで外せないスポット。橋の下でもサーフィン可能だが、大きな北ウネリが必要

サンフランシスコ北のポイント、ボリナスビーチ。腰くらいのサイズが最もキレイにまとまる

サンフランシスコを抜けると、有名なサーフスポットが続く。オーシャンビーチ、そしてハーフムーンベイのマーベリックス。ビッグウェーブは立っていなかったが、聖地を見ておきたかった。「早くいい波でサーフィンしたい」という気持ちを抑えながら、ポイントを一つひとつチェックしていった。
道路標識に“Santa Cruz”の文字が見えた瞬間、胸の鼓動が高鳴った。街に入るとヤシの木が並び、空気が一気に南国めいてくる。海沿いの道を灯台の方へ進み、左カーブに差し掛かった岬の先端を見下ろすと、そこにはサーフマガジンで何度も見た光景が広がっていた。

海岸線沿いを走るハイウェイ1。目まぐるしいほど変わっていく景色は、何十キロ走っても飽きることはない


古川良太(サーファー/鮨職人)
20代の3年間、カナダ、オーストラリア、インドネシア、中南米の波を求めて旅を重ね、サーフィンに明け暮れる。帰国後は鮨職人として6年間修行し、日本文化と真摯に向き合う日々を送る。現在は妻と共にヴァンライフを送りながら、カナダからアメリカ西海岸をロードトリップ中。旅の様子はYouTube「アーシングジャーナル」で定期的に公開。
Instagram / YouTube

Ride of a Lifetime Arcive

Filed Under: LIFESTYLE 関連タグ:Ride of a Lifetime, ヴァンライフ, サーフトリップ, 古川良太, 連載

笹子夏輝 ~カリフォルニア・スタイル巡礼の旅/A PILGRIMAGE to CALIFORNIA_5

2025.11.4. by 林芳史

フリーサーファー笹子夏輝は、現状に何ともいえない焦燥感を覚えていた。どうすれば解消できるのか、何をすれば次のステージに進めるのか、その答えを探しに南カリフォルニアに旅に出た。出会うサーファーたちのスタイルと生き方にヒントを求めて……。




COREY COLAPINTO/豊かな環境が育むサーフスタイルとシェイピング文化


従兄弟のグリフィン・コラピントから刺激を受けショートボードの世界へ身を投じるも、競争社会に幻滅しフリーサーファーへ。コーリー・コラピントのキャリアにもまた、共感できるものがある。彼はその先にシェイプの世界があることも教えてくれた。


いまはSNSのダイレクトメールを通して世界中の誰とでも文字どおりダイレクトに繋がれる時代。そして一度も会ったことがなくても友だちになった気になっている。実は夏輝もコーリーとはそんなオンラインのみでの関係だった。それがこの旅でやっとオフライン・ミーティングが叶うことに。彼のサーフィンを生で見て、そのボードを実際に体感してみたい。それができるのが旅の醍醐味である。
マリブ出身の父親とハワイ出身の母親との間にホノルルで生まれたコーリーは、家族全員がサーファーという恵まれた環境で育ち、5歳から父親とタンデムで波の上を滑っていた。その後ショートボードに夢中になりコンペティションにも出始めるが、高校生のころには燃え尽きてしまう。父親は、そんな彼をかつてよくタンデムしていたサンノーに誘い出し、ロングボードでのサーフィンのピュアな楽しさを改めて思い出させてくれた。
「父がなぜ小さい波であんなにもストークしていたのかが、ロングボードに乗るようになってやっとわかった」
彼にはクリエイティブな一面もある。CJネルソン・デザインズのライダーとしてボードのデザイン開発に関わっていたため、ボードを削るようになるのは時間の問題だった。いまは自分でシェイプしたボードで自由なマニューバーを描く。そのサーフィンはいわゆるロギングとは少し違うようだ。

長めのボードは10フィートほどありグライダーやスピードシェイプに近く、ドライブとグライドが気持ちいい

もう一本は8フィート台の長めのミッドレングスで、こちらもスワローテール。ノーズライドも可能で、コーリーは多種多様な技を見せ、ボードのポテンシャルの引き出し方を教えてくれた

海から上がってもまだ波が気になる

ボードとウェットスーツを持ってトレイルを歩いてビーチにアクセス。こういう体験がサーフィンライフを豊かにしてくれる

一緒にサーフィンする約束をし、早朝に待ち合わせた。場所はサンノーのさらに奥のトレイルズ。パーキングは有料でそこからビーチまでトレイルを10分ほど降りていかなければならないが、それだけに海は空いている。なるほど、コーリーのインスタで見る映像はこういうところで撮っていたのか。ふたりはボードとウェットスーツを抱え、周りに人工物がまったくない未舗装のトレイルを降りていく。これもカリフォルニアのサーフィンライフだ。しばらくビーチを歩いてポイントに着くと、ラインナップは無人だった。ふたりはパドルアウトし、ボードと波をシェアしながらリアルなオフ会を楽しんだ。
セッションの後、コーリーはサンクレメンテの住宅地のなかにある、秘密のシェイピングベイに連れていってくれた。それは知人宅のバックヤードの奥に広がる小さなランチ(牧場)に建つ小屋だった。入り口には「チキン・シャック・シェイピングルーム」と書かれている。ニワトリ小屋に併設されているようで、仲間たちと共同で使っているらしい。そこで夏輝は、コーリーの手ほどきで初めてシェイプを体験する。クリエイティブな若いシェイパーが次々に育つカリフォルニアの豊かな土壌が羨ましかった。

コラボ・シェイピングで作ったのもテールの割れたデザインだった。次回、このボードに乗る楽しみができた

「 君もシェイプしてみないか」。急遽コーリーの提案で夏輝もちょっとだけシェイピング。このカジュアルさがいい

シェイピングベイはニワトリ小屋の隣。ここをシェアしてる仲間たちも遊びに来た

Corey Colapinto


Shaper

ショートボードのコンペを辞めログの世界観に目覚めると、ターン、トリム、ノーズライドに磨きをかけ、エレガントなスタイルを身につける。Kookapinto Shape レーベルではシングルフィン・ログとフィッシュの特性を融合したユニークなデザインを生み出している。

A PILGRIMAGE to CALIFORNIA(Arcive)

photography & text _ Takashi Tomita

>>SALT...#04から抜粋。続きは誌面でご覧ください

Filed Under: SURF 関連タグ:A PILGRIMAGE to CALIFORNIA, Corey Colapinto, コーリー・コラピント, 笹子夏輝

笹子夏輝 ~カリフォルニア・スタイル巡礼の旅/A PILGRIMAGE to CALIFORNIA_4

2025.10.30. by 林芳史

フリーサーファー笹子夏輝は、現状に何ともいえない焦燥感を覚えていた。どうすれば解消できるのか、何をすれば次のステージに進めるのか、その答えを探しに南カリフォルニアに旅に出た。出会うサーファーたちのスタイルと生き方にヒントを求めて……。




SURF CULTURE/知らなかったリッチなサーフカルチャーに触れる


長い歴史のなかでボードデザインは進化し、インダストリーは芽生え、カルチャーが醸成されてきた。サーフィンの世界には商業主義やコンペとは異なる、もうひとつの側面がある。豊かなサーフカルチャーとヒストリー。それを夏輝は肌で感じた。


「ロングボードを始めるようになり、ビーチで年長者のサーファーからカルチャーやヒストリー、レジェンドシェイパーの話をよく聞くようになった。でも自分には全然そんな知識がなくて……」
ショートボードと向きあう時間が長かった夏輝にとって、カルチャーやヒストリーは少し遠い話で、レジェンドの名も、聞いたことはあっても何者かまでは詳しく知らない。ただロングボードのバックグラウンドにあるものに徐々に興味が湧いてきたのも事実。旅中は、そんなサーフィンの文化面にごく自然と触れることができた。サーフィンが一世紀以上の歴史を持つカリフォルニアとは、そういう場所なのだ。
サーフミュージアムはもちろん、土地の歴史を扱うミュージアムでもスケートボードやサーフィンを扱うディープなエキシビションが開催され、サーファーのみならず老若男女が観に訪れる。カルチャーとクラフトとアートが薫るサーフショップも見て回った。流行りのボードレーベルは知っていたが、老舗レーベルの歴史に裏打ちされた揺るぎない価値のようなものも感じた。サーフィンの歴史とその内包する文化は奥深い。今後はそうした世界を探訪する旅も楽しみになった。

サーフィンの歴史が学べる「サーフィン・ヘリテージ&カルチャー・センター」。一角にはコンペ史上で価値ある勝者のボードが一堂に介していた

ヴィスラのクリエイターズ&イノヴェーターズのひとりエヴァン・マークスが運営するNPO「エコロジーセンター」。オーガニックな農業とコミュニティを繋ぐ場所で、ランチのピッツァも美味かった

ニューポートビーチの「デイドリーム」。商品セレクトに鋭い審美眼を感じる

ヴェニスの「モラスク」。ここもオルタナティブ・サーフィンの発信源だ

ボードを借りたビング・サーフショップ。とにかくボードのバリエーションが豊富だった

サンタモニカにある「カリフォルニア・ヘリテージ・ミュージアム」ではドッグタウンの回顧展が催されていた。エネルギーに満ちていた’70年代のカリフォルニアにインスパイアされる

A PILGRIMAGE to CALIFORNIA(Arcive)

photography & text _ Takashi Tomita

>>SALT...#04から抜粋。続きは誌面でご覧ください

Filed Under: SURF 関連タグ:A PILGRIMAGE to CALIFORNIA, エコロジーセンター, カリフォルニア・ヘリテージ・ミュージアム, サーフィン・ヘリテージ&カルチャー・センター, サーフカルチャー, デイドリーム, ビング・サーフショップ, モラスク, 笹子夏輝

【連載:Ride of a Lifetime】カナダからカリフォルニアまで、ヴァンで旅するサーファーの旅の記録_Episode 5/随所作主

2025.10.29. by 林芳史

出来事に意味を与えるのは、それを生きる“自分の心”

ロードトリップの途中、気持ちが高揚する瞬間は数えきれないほどある。なかでも、予期せぬ良い波に巡り会えた時の高揚感は格別だ。それがシークレットスポットなら、なおさら心が躍る。
アゲートビーチから南にあるいくつかのサーフスポットを友人に教えてもらったが、ほとんどは波が小さいか風が入り、ノーサーフが続いた。しかし、ある場所だけはまったく違った。どの波情報サイトにも載っていないそのポイントは、ビーチから写真を撮っていると「頼むからソーシャルメディアにはあげないでくれ」と声をかけられる、まさしく“シークレットスポット”だった。とはいえ、ローカルが厳しく管理しているわけではなく、サーファーなら知る人ぞ知るといった雰囲気。海に入っている人たちも北や南から来ていて、外国人の僕でもすんなり入れ、ギスギスした空気はまったくなかった。
大きな岩の前からブレイクする、美しいレギュラーの波。テイクオフゾーンはやや速いが、それを抜けるとパワフルでありながらトロく、インサイドまでカットバックで繋いでいける。僕のシングルフィンとの相性は抜群だった。

場所をしっかりを把握しておかないと見逃してしまうポイント。メインブレイクはライトだがうねりの向きによってレフトも割れる

この藪を抜けた先にブレイクが存在する。良い波があると分かっていると自然と足取りが速くなる

南オレゴンは無人スポットが点在するが、夏は乏しいウネリと北風の影響でこのようなコンデションがほとんど

緑の森とシースタックがオレゴン州を象徴する。この辺にもサーフスポットがあるが、ボードを抱えて1時間ほどハイキングが必要

そもそも、ショートボードで育った僕がシングルフィンに乗り始めたのは、旅をするようになってからだ。サーフィンを始めたての高校生の頃は、プロのようなサーフィンに憧れ、できるだけ短く薄いボードこそ“カッコいい”と思い込んでいた。だが、基礎もない独学の我流では上達は乏しかった。
オーストラリアを旅していたときにミック・ファニングの本を読み、サーフィンの上達にはシングルフィンが良いと知った。そこから初めてトライフィン以外に興味を持ち、中南米の旅の相棒には、オーストラリアのアイセミテリー、マックス・スチュワートがシェイプするトム・キャロルと共同で作っていた5’9”のシングルフィンを選んだ。
トライフィンの足先だけでサーフィンをしてきた僕には、それは本当に難しかった。波の形状を感じ取りながら、体重移動でレールを入れてターンする。無理に動かそうとするのではなく、波に合わせる。そこには、現代のハイパフォーマンスボードでは感じにくくなった“サーフィン本来の形”があった。

アイセミテリー、ロスト・ラブ改。エルサルバドルの厚くパワーのある波が最高にマッチしたがターンに苦戦した。

それ以降、僕のサーフィンへの向き合い方は変わった。「自分に合うボードを探す」のではなく、「目の前にあるものでいかに楽しむか」。ボードの性能を最大限に引き出す乗り方を追求するようになった。体力は10年前より落ちたし、ハードな波にチャージする意欲も減った。だが、受け入れることを覚えたことで精神的に成熟し、今のほうがずっと楽しく、うまく波に乗れている。ボードとの出合いは偶然ではなく、必然なのかもしれない。僕がボードを選んだのではなく、ボードが僕を選んだ。そう考えると、ライディングの幅は大きく広がる。
今回の旅で相棒にしたのは、クリステンソンの7’10” ウルトラトラッカー。自然が生み出すエネルギーと同調して楽しむのがサーフィンだとすれば、波とボードに自分を合わせることこそ本来の姿だ。10分に一度訪れるセットの波を6人で乗り回し、インサイドまで乗り繋ぐ。パドルバックするときは、次のサーファーが気持ちよくライドする姿を笑顔で眺める。波待ちの間には、「さっきの波、最高だった!」と自然に言葉が交わされ、穏やかな空気が流れる。
いい波を、いい仲間とシェアする。
雑念から解き放たれ、ただ“今”を楽しむ――この瞬間こそ、誰もがサーフィンに求めるナチュラルハイではないだろうか。

クリステンソンの7'10"ウルトラトラッカー。ノーズとテールが薄く、レールもシャープに絞られてるので実際の長さよりも短く感じる

この自然が作り出す芸術は、オレゴンコーストに来たら訪れるべき場所の一つである。カリフォルニア州に入る手前に観光名所が集合する


古川良太(サーファー/鮨職人)
20代の3年間、カナダ、オーストラリア、インドネシア、中南米の波を求めて旅を重ね、サーフィンに明け暮れる。帰国後は鮨職人として6年間修行し、日本文化と真摯に向き合う日々を送る。現在は妻と共にヴァンライフを送りながら、カナダからアメリカ西海岸をロードトリップ中。旅の様子はYouTube「アーシングジャーナル」で定期的に公開。
Instagram / YouTube

Ride of a Lifetime Arcive

Filed Under: LIFESTYLE 関連タグ:Ride of a Lifetime, ヴァンライフ, サーフトリップ, 古川良太, 連載

笹子夏輝 ~カリフォルニア・スタイル巡礼の旅/A PILGRIMAGE to CALIFORNIA_3

2025.10.23. by 林芳史

フリーサーファー笹子夏輝は、現状に何ともいえない焦燥感を覚えていた。どうすれば解消できるのか、何をすれば次のステージに進めるのか、その答えを探しに南カリフォルニアに旅に出た。出会うサーファーたちのスタイルと生き方にヒントを求めて……。



JESSE GUGLIELMANA/感度の高いサーファーが注目する感性の人


佇まいそのものがかっこいい。コーヒーをすする、タバコをふかす、そんなちょっとした仕草も絵になる。憧れの存在でありつつ親近感も抱いていたジェシー・グーグルマナ。アートにサーフボード。創り出すものすべてに類まれなセンスが宿る。


以前から夏輝は、気になるサーファーとしてジェシーの名をよく挙げていた。10代のころからクイックシルバーにスポンサーされショートボートのコンペティターだったこと、その後コンペを離れフリーサーファーに転身したこと、そして気づけばロギングでも輝きを放つようになったことなど、ジェシーの歩みに自分と重なるものを勝手に感じていた。
南カリフォルニアで生まれ育ち、子どものころはスケートボードにハマっていたジェシーは、家族とカウアイ島に引っ越したのをきっかけにサーフィンにのめり込む。ただコンペには馴染めなかった。その後クロージングブランド「ブリクストン」のライダーになると、その類まれなセンスがデザイナーのピーター・スタダードの目に留まり、ブリクストンのデザイナーに大抜擢される。着こなしがかっこよければ、デザイン未経験でも服を作るチャンスを得ることができる。そんなエピソードがキャプテンズヘルム トウキョウで働く夏輝には輝いて見えた。
「サーフボードにしてもクロージングにしても、ジェシーの作ったものなら手に入れたくなる。なぜならそこには彼の確固たる世界観が感じられるから。そういう存在に憧れる」
ジェシーがクリエイトしたものには味がある。ヴィンテージクロージングに刺繍やスクリーンプリントを施しアップサイクルした彼のブランド「チャンバー」のアイテムにもそんな彼のセンスが宿っている。それらは古着好きにはたまらない一点ものばかり。ニューポートビーチのジェシーの仕事場を訪れるや否や、夏輝はチャンバーのカーディガンを一着ゲットした。

ジェシーのスタジオは、いい意味でカオスな雰囲気で、アーティストがものを生み出す現場そのものだった。彼は夏輝にギフトとしてフィンを一本手渡した

メタル製の重すぎるスケートボードなど、スタジオは面白い創作物で溢れている

ペインティングのセクション。ダークなジェシーの世界観が全開だ

エントランスのギャラリースペース。このときはアートをディスプレイしていたが、スケートボードや自身のブランド「チャンバー」のクロージングのショールームになることも

祖母から受け継いだスクリーンプリント業がジェシーの生業。とはいえ本業のスペースより彼の創作空間のほうが広い。ペインティングのスペースにシェイピングベイ、エントランスには小ぶりなギャラリースペースも。スケートボードも作っているというから、これまたひとつの肩書で収まらない多才ぶりだ。
いまはキャプテンフィンのライダーを務めていて、ミッチ・アブシャーとも極めて近い存在だ。「全部かっこよすぎる。彼と何かコラボできたら最高だな」。夏輝の頭のなかではいろんな妄想が渦巻きだした。
ペインティングには4年の歳月をかけた作品もある。サーフボードも一部のショップの店置きを除きカスタムシェイプがメイン。クロージングも手間ひまをかけるので量産はできない。すべてが時間をかけて創り出されるレアもの。そのかけた時間から付加価値が生まれることを改めて学んだ。

「コーヒーでも飲もうか」。スタジオからすぐのショップ「デイドリーム」で一息入れ、打ち解けるふたり

シェイピングベイの削りかけのボードも気になる

サーフボードやフィン、ドローイングアートやインピレーションブックを見せてもらいながら、クリエイティブな話が弾む

Jesse Guglielmana


Artist, Shaper

アンダーグラウンドな雰囲気が魅力のフリーサーファー。ハンティントン・ビーチで生まれサンクレメンテやカウアイのノースショアで育つ。シェイピングは父の影響で始める。10年ほど前からログにも乗るようになり、ここ数年そのオールラウンドなサーフィンが人を魅了する。

A PILGRIMAGE to CALIFORNIA(Arcive)

photography & text _ Takashi Tomita

>>SALT...#04から抜粋。続きは誌面でご覧ください

Filed Under: SURF 関連タグ:A PILGRIMAGE to CALIFORNIA, Jesse Guglielmana, ジェシー・グーグルマナ, 笹子夏輝

松岡慧斗シグネチャームービー『852 DOWN THE LINE – JAPAN -』の上映チケットが発売開始!

2025.10.21. by 林芳史

世界を魅了するウェイブハンター、松岡慧斗。母国・日本を舞台に、“Right time, Right place”を探し続ける。四季が織りなす日本列島を旅しながら、波と向き合い、感覚を研ぎ澄ます。すべては、1本の「最高の波」を掴みとるために。
シグネチャームービー『852 DOWN THE LINE ‒ JAPAN -』が、いよいよ劇場上映される。
収録されたフッテージはすべて日本。荘厳な波、雄大な雪山——。繊細でありながら力強い、日本の自然が生み出すコントラストが、松岡慧斗という唯一無二のサーファーの感性と響き合う。
自然の流れを読み、動き、スキルと直感を極限まで研ぎ澄ます。その一瞬に懸ける圧巻のライディングと映像美を、ぜひ映画館のスクリーンで体感してください。


【上映会詳細】
日時:10月30日(木)
会場:ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター1
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル 7・8F
開場: 18:30、上映:19:00
入場:2000円(税込)

※チケットは下記より購入可能
・オンライン販売
10 月21 日(火)19:00 から販売開始 ※上映時間20 分前まで販売
購入はこちらから

・劇場窓口販売
10 月22 日(水)劇場オープンから販売開始

Filed Under: SURF 関連タグ:852 DOWN THE LINE – JAPAN -, イベント, サーフフィルム, サーフムービー, 松岡慧斗

  • ページ 1
  • ページ 2
  • ページ 3
  • Interim pages omitted …
  • ページ 27
  • Go to Next Page »

  • TOP
  • ABOUT
  • CONTACT
  • privacy policy
  • SURF
  • LIFESTYLE
  • SUSTAINABLE
  •  
  • instagram
© SALT… Magazine All Rights Reserved.
  • TOP
  • ABOUT
  • CONTACT
  • privacy policy
  • SURF
  • LIFESTYLE
  • SUSTAINABLE
  • instagram
  • © 2025 SALT… Magazine All Rights Reserved. © 2025 SALT Magazine. All rights reserved.

    logo
    • SURF
    • LIFESTYLE
    • SUSTAINABLE
    • ABOUT
    • CONTACT
    • WHOLESALE
    • PRIVACY POLICY
    • INSTAGRAM
    • ONLINESTORE