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SALT Magazine - Surf&Beach Life Style Magazine -

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海と共にある暮らしを、新しい価値観でニューノーマル=オルタナティブなライフスタイルを海をフィールドとして、新しい価値観で伝えていくメディアです。

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林芳史

日本のサーフィン史を未来へ。写真家・竹井達男によるトークイベントが開催

2026.3.11. by 林芳史

日本のサーフィン文化の記録と保存に取り組む写真家・竹井達男氏によるトークイベントが開催される。本イベントでは、2003年からスタートしたサーフィン史の資料収集、そして2013年に行ったアナログフィルムの修復をきっかけに本格化したアーカイブ活動など、現在の活動に至るまでの歩みを紹介。さらに、一般社団法人日本サーフィン歴史保存協会の設立に至る背景についても語られる予定だ。
当日は、これまで保存されてきた写真や映像資料も紹介。貴重な記録がどのように残され、守られてきたのか、そしてそれらを次の世代へ受け継ぐうえで直面した課題についても解説。日本における“保存文化”の重要性や、サーフコミュニティが果たす役割にも触れながら、サーフィン文化の未来について参加者とともに考える貴重な機会となりそうだ。

©大山節夫

●日程・会場
【大阪】
・トークショー:3月28日(土)
・時間:19:30 開場 / 19:45 開始 / 21:00 終了
・展示期間:3月19日(木)〜3月29日(日)
・会場:パタゴニア 大阪・中之島 / アウトレット
・住所:大阪府大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクス EAST棟
・定員:40名
・問い合わせ先:06-6443-6610


【東京】
・トークショー:4月11日(土)
・時間:19:30 開場 / 19:45 開始 / 21:00 終了
・展示期間:4月3日(金)〜4月12日(日)
・会場:パタゴニア 東京・原宿 / アウトレット
・住所東京都渋谷区神宮前3-18-24 ジム・アベニュー1F
・定員:40名
・問い合わせ先:03-3408-1888


【千葉】
・トークショー:4月25日(土)
・時間:18:30 開場 / 18:45 開始 / 20:00 終了
・展示期間:4月17日(金)〜4月26日(日)
・会場:パタゴニア 千葉・一宮 / アウトレット
・住所:千葉県長生郡一宮町東浪見7404
・定員:40名
・問い合わせ先:0475-40-6030

参加費:無料(事前予約制)
イベント申し込みページはこちら→イベントページ

TOP写真:大山節夫

竹井 達男

1972年大阪府生まれ。1993年に渡米し、サーフィン写真の巨匠LeRoy Grannis、サーフィン映画のパイオニアBud Browneのもとで学ぶ。カリフォルニアで1960年代のクラシックな撮影技法を徹底的に研究し、その表現を追求してきた。2003年の一時帰国を機に、日本のサーフィン史を記録・保存する活動を個人でスタート。その後、写真集『AUTHENTIC WAVE』などの作品を発表し、国内外で評価を得る。近年は「Single Fin Study Group」を全国で展開しながらコミュニティづくりにも取り組み、2024年には一般社団法人日本サーフィン歴史保存協会を設立。アナログフィルムやクラシックカメラの知識を活かし、日本のサーフィン文化の保存と継承を続けている。
  ©Lindsey Ross

Filed Under: NEWS 関連タグ:イベント, パタゴニア, 日本サーフィン歴史保存協会, 竹井達男

QUIKSILVERとNetflixシリーズ実写版「ONE PIECE」シーズン2によるカプセルコレクションが登場!

2026.3.10. by 林芳史

QUIKSILVERが、Netflixシリーズ実写版「ONE PIECE」シーズン2とのコラボレーションコレクションを発表。3月10日(火)より発売される!
今回のカプセルコレクションは、麦わらの一味が体現する“反骨精神”と“海への情熱”をインスピレーション源に構成。作中の世界観を象徴するジョリー・ロジャー(海賊旗)のモチーフを取り入れながら、サーフカルチャーとの接点を自然に落とし込んだデザインが特徴だ。


ブランド定番のボードショーツをはじめ、グラフィックシャツ、Tシャツ、ジャケットなどがラインナップ。シーズン2のキーカラーをベースにした配色で統一されているほか、作中で象徴的な“麦わら帽子”も展開される。
キャンペーンビジュアルには、作中でサンジ役を務めるタズ・スカイラーが登場。サーフィンを愛する彼のキャラクター性も、今回のコレクションのムードと重なる。
本コレクションは、全国のQUIKSILVER STORE、BOARDRIDERS STORE、公式オンラインストアおよび正規取扱店舗にて販売(一部取扱いのない店舗あり)。
数量限定での展開となるため、早めにチェックしておきたい。

発売日:2026年3月10日(火)
取扱店舗:全国のQUIKSILVER STORE、BOARDRIDERS STORE、公式オンラインストアほか

公式サイト/Instagram

Filed Under: NEWS 関連タグ:ONE PIECE, QUIKSLVER, クイックシルバー

【連載:Ride of a Lifetime】カナダからカリフォルニアまで、ヴァンで旅するサーファーの旅の記録_Episode 14/雲水行脚

2026.3.4. by 林芳史

うねりの季節をまたいで、半島を南へ

バハカリフォルニアには、大きく分けて2つの波がある。夏、南半球から押し寄せるスウェル。そして冬、ハワイから届く北のスウェル。何千年、何万年と繰り返されてきたであろうこの周期が、半島の海岸線を削り、いまの姿をつくり上げてきた。そのほとんどは、護岸工事や港の建設による地形変化の影響を受けることなく、ありのままの姿を保っている。僕らがバハを南へ下り始めたのは、すでに10月に入っていた。南うねりが落ち着き、北うねりが次第に強まりはじめる季節だった。
「頼む、もう一発だけ南うねりが届いてくれ!」
バハといえば、言わずと知れたスコーピオンベイ。そこに照準を合わせ、僕らは南下していた。バハのブレイクは無数に点在している。だが、その多くはメインのハイウェイを外れ、未舗装路を進んだ先にある。1988年式の僕らのヴァンで、本当に辿り着けるのか? それは行ってみなければわからない、ひとつの賭けだった。

道中、至るところに牛の姿が。夜に運転してはいけない理由のひとつは、彼らがふいに道に現れるからだ

途中寄り道をして、バハ最高峰の山、Picacho del Diabloへ

エンセナダの町を越えた瞬間、一気に大自然が広がる。乾いた空気と褐色の山々を貫く一本の道。まさに思い描いていたバハの風景だった。途中で道を折れ、海岸線へ向かう。すでに視界の先には海が見えているのに、路面状況が悪く前へ進めない。結局、来た道を引き返し、回り道を余儀なくされた。
今度は太陽との闘いだ。明るいうちに目的地へ到着したい。そんな焦りが、握ったハンドルをじっとりと湿らせる。誤算も予定のうちに入れておかなければ、大変なことになる。それを初日で学んだ。到着したときにはすでに日が暮れていた。危険だとわかっていながら、ワイルドキャンプをして翌朝を待った。
翌朝、ポイントに到着すると、わずかではあるがサーフィン可能な波が割れていた。サーファーは僕らのほかに、たった一人。混雑とは無縁の世界。波が整っていく様子を眺めながら準備をし、パドルアウトする。上から見ると小さく見えた波も、実際に入ってみるとセットで腹ほどのファンウェーブだった。夕方になると風が落ち着き、うねりもわずかに強まり、コンディションはさらにクリーンになる。サンセットを眺めながら、ひとりだけのセッション。テイクオフした瞬間、いつもとは違うラインが描ける。そこにあるのは波と自分だけ。何にも縛られずることなく、波と融合した魂のダンスだった。

比較的アクセスしやすいロケーションながら、無人で割れ続けるライトハンド。目の前には宿もあり申し分のない条件が揃う

何もない場所で迎えたキャンプ初日。ガイドブックには“危険エリア”とあり、夜は深くは眠れなかった

ここは昔小さなフィッシュキャンプと呼ばれる場所で、家が4軒建ってたことが名前の由来になってる

そこからさらに南へ車を走らせ、次のポイントへ向かう。ここもまた無人の波。岬に沿って巻き込むようにブレイクするライトハンドだ。小さく、ゆっくりと割れていくその波は、ロングボードに乗る妻にとって、まさに楽園のようだった。この先も、こんなポイントがずっと連なっているのだろうか。想像するだけで、思わず笑みがこぼれる。サンディエゴに到着したあの日、バハへ向かう決断をした自分たちを、いまなら心から褒めてあげたい。
未知への恐怖ほど、人を縛るものはない。その先に幸せがあるかもしれないことすら知らず、恐れはしばしば真逆の力となって心を支配する。人生の縮図のような濃密な経験を、いまこの瞬間に実感できていること。それ自体が、何よりの幸せだ。
ただ波に乗るだけではない。サーフィンを通して、生き方のヒントを学ぶ。その姿勢こそが、サーファーの神髄なのではないか。
バハの旅は、まるでクエストのようだ。ことあるごとにイベントが発生する。何百キロもガソリンスタンドがないエリア。土砂崩れで通行不能になる道。カルテルが活発な地域――。すべてが現在進行形で変化し、ガイドブックの情報すら追いつかない。だが、このクエストをクリアした先には極上の波が待っている。そんな期待に胸を膨らませながら、今日もまた南へと進んでいく。

バハでも名の知れたブレイクのひとつだが、シーズン終盤ということもあり、海にいるのは僕らだけ

腰腹サイズのメローウェーブ。バハはハードなのではと構えていた妻にとって、ここはまるで楽園のようなブレイクだった

世界で3番目に星が美しく見えると言われるSan Pedro Martir。バハの荒野を登った先に森が広がる、知る人ぞ知る穴場スポット

古川良太(サーファー/鮨職人)
20代の3年間、カナダ、オーストラリア、インドネシア、中南米の波を求めて旅を重ね、サーフィンに明け暮れる。帰国後は鮨職人として6年間修行し、日本文化と真摯に向き合う日々を送る。現在は妻と共にヴァンライフを送りながら、カナダからアメリカ西海岸をロードトリップ中。旅の様子はYouTube「アーシングジャーナル」で定期的に公開。
Instagram / YouTube

Ride of a Lifetime Arcive

Filed Under: LIFESTYLE 関連タグ:Ride of a Lifetime, ヴァンライフ, サーフトリップ, 古川良太, 連載

【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/29_サマラ・クリブ

2026.3.2. by 林芳史

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Samara Cribb サマラ・クリブ
ゴールドコーストを拠点に活動するサーファー/クリエイター。海とともに育ち、マーケティング、フリーランス、スーパーヨットでの仕事を経て、あらためて“創ること”を軸に据えた。現在は、自身のクリエイティブな世界をさらに広げている。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちは、バイロンベイの少し南にあるエバンズヘッドという小さな海沿いの町。のんびりとしたスローな空気が流れる、静かな田舎町。三姉妹の末っ子で、男の子がいなかったから、父にとって私たちは「サーフィンをさせるしかない存在」だったんじゃないかな(笑)。
毎週末のようにサーフィンの大会へ連れて行かれ、気づけば自然とサーフィン中心の生活ができあがっていた。まだ幼くて深く考えることもなく、ただ遊びの延長のような感覚でやっていたのを覚えている。三姉妹みんな一度はサーフィンをしていたけれど、続けたのは私だけ。父にとっては、きっと最後の希望だったんじゃないかな。今でも会うたびに「まだサーフィン続けてるのか?」って聞かれる。
子どもの頃は自転車で海へ向かい、毎日暗くなるまでサーフィンしてた。町はとても小さく、誰もが顔見知りで、道を歩けば何人もの人に声をかけられる環境。どこへ行っても誰かが見守ってくれているような安心感があった。その空気が大好きだった。
高校を卒業して20代に入る頃、少し物足りなさを感じるようになり、「もっとエネルギーがあって、刺激のある場所へ行きたい」と思い、ゴールドコーストへ引っ越したの。そして、いまはここが拠点。
大学を卒業してから、マーケティングやクリエイティブ、コンテンツ制作の分野で仕事している。大学では幅広く学べそうなビジネスを専攻し、自然な流れでマーケティングの道へ進んだ。19歳のとき、地元のスキンクリニックでSNSやコンテンツ制作を任せてもらうチャンスをもらった。当時は完全にゼロからのスタートで、ハイパーリンクの意味すら分からなかった。でもオーナーが一からすべて教えてくれて、その経験が今の土台になっている。20歳のとき、「自分でもできるかもしれない」と思ってフリーランスとして独立。周囲から「それは仕事にならない」と言われながらも少しずつクライアントが増え、気づけばフルタイムのような働き方になっていた。だけど22歳のとき、パソコンに向かい続ける生活に物足りなさを感じ始めて。もっとリアルなつながりや新しい刺激が欲しくなり、思い切ってマーケティングの世界を離れて、スーパーヨットの仕事へ飛び込んだ。そこで気づいたのは、「創ること」は自分にとって欠かせないものだということ。忙しさの中でクリエイティブな時間がなくなると、心のどこかが少しずつ削られていく感覚があった。いまはデザインをしたり、新しいアイデアを形にしたりする日々に戻り、心から満たされている。

サーフィンを始めたきっかけ

サーフィンを始めたのは、地元のエバンズヘッド。正直に言うと、サーフィンをしなかったら他にやることがあまりなかった、というのも理由のひとつ。父はいつも海に連れて行ってくれて、彼の友人たちもみんな私を知っていて、「また明日も海でね!」って声をかけてくれる。そんな環境の中で、自然とサーフィンが当たり前になっていた。そこから、地元や近くの大会に出るようになった。女の子同士でサーフィンをする感覚は、ゴールドコーストに来てから初めて知った。それまでは男の子たちと一緒に大会に出たり、一人で海に入ったり、父とサーフィンすることがほとんどだったから。ゴールドコーストはまったく雰囲気が違う。女の子のサーファーが自然に主役になれる場所、そんな印象。メインはロングボードで最近はミッドレングスにも挑戦している。少し前にインドネシアへ行ったときも、ミッドレングスだけを持っていった。
これまでいろいろな場所で波に乗ってきたし、これから行きたい場所もたくさんあるけれど、世界で一番好きなのは、クーランガッタのレインボーベイ。家から5分の場所に、世界で一番好きなブレイクがあるというのは本当に幸せなことだと思う。オーストラリア中を旅しながらサーフィンもしたし、西オーストラリアの海もとても美しかった。でも、ロングボーダーとして選ぶなら、やっぱりレインボーベイ。透き通った水、海へ向かう道から見えるスナッパーロックスからキラまでの景色。サンライズやサンセットの時間、海がやわらかな色に溶けていく瞬間。胸がきゅっとなるような、現実とは思えない景色。
もう一つ特別なのは、ロンボク島にあるエカスという小さなブレイク。次に行ってみたいのはモロッコとコスタリカ。

ゴールドコーストでの暮らし

小さな町で育った私にとって、大都市のシティライフはどこかしっくりこなかった。今でも自分の中には、あの小さな町の空気がちゃんと残っている気がする。少しストレスを感じた日は、ただ静かにビーチに座っていたくなる。地元を離れたばかりの頃は、今までにない忙しさや刺激を求めていた。でも時間が経つにつれて、本当の落ち着きや幸せは、静かな海辺で過ごす時間の中にあるんだと気づいた。ゴールドコーストのいいところは、その両方があること。仕事のチャンスや新しい出会いがある一方で、ひとりでビーチに座ってコーヒーを飲みながらぼーっとできる静けさもある。そのバランスがちょうどいい。
ここに住んでいる人たちは、「働くために生きている」というより、「ちゃんと暮らすためにここにいる」という感じがする。ブリスベンやシドニーへ行くと、都会のエネルギーに圧倒されることもあるし、人生が仕事中心に回っているように見えることもある。でもここは、平日の朝でも海沿いを歩けば、ランニングしている人、トレーニングしている人、ビーチでのんびりしている人がいる。その景色を見るだけで、自分の神経もすっと整っていく。自然と深呼吸したくなるような場所。

海、自然との関係

サーフィンは、私にとってある意味“瞑想”みたいなもの。正直、静かに座ってする瞑想はあまり得意じゃない。頭の中はいつも忙しいし、「もっと上手くなりたい」とかいろいろ考えてしまう。でも海に入ると、不思議と余計なことが消えていく。2時間くらい海に浮かんで、誰とも話さず、ただ波を待つ時間。それは自分と海だけの時間。すごく静かで、でもちゃんと生きている感じがする。
海に入って後悔したことは一度もない。たとえ思うように波に乗れなかった日でも、海から上がる頃には必ず「入ってよかった」と思えている。海は、ほかではなかなか得られない深い静けさをくれる。同時に、海の力を絶対に侮らないようにしている。特に海のそばで育っていない人や初心者の人は、そのパワーを甘く見てしまうこともあると思う。大きな波、カレント、潮の流れ、風。完全に自然のエレメントの中にいるということ。
「今日はコントロールできてる」って思った瞬間に、まるで海が「考え直しなさい」と言わんばかりに、一瞬で打ちのめされることもある。だから自分は、海の“上”に立っている存在ではなく、海の“下”にいる存在。海に入るたびに、謙虚さを思い出させてもらっている。

人生に欠かせない3つのもの

一つ目は、ビーチや海のそばにいること。どんなに条件がよくても、そこに海がないなら選ばないと思う。それくらい、海は人生の前提。
二つ目は、体を動かせること。スーパーヨットで働いていた頃、自分だけの静かな時間がほとんどなく、思うように運動もできなかった。そのとき初めて、体を動かすことがどれだけ自分の心とつながっているかを実感した。動けないことは、想像以上にメンタルにも影響していた。
三つ目は、コーヒー。これはもう、シンプルに欠かせない存在。朝の一杯で、気持ちがちゃんと整う。

今後の夢と目標

まだ若くて、大きな責任がそこまでない今のうちに、できることは全部やってみたい。その一つが、パートナーと海外に住むこと。同時に、仕事のスタイルもきちんと整えたい。自分にとって譲れないものを大切にしながら、落ち着きもあって、でも旅も続けられる。そんなバランスを見つけたいと思っている。

これから何か新しいことに挑戦したい人へのアドバイス

一番伝えたいのは、自分のエゴに邪魔されずに人に話しかけること。たった5分の会話でも、少し素直になって「実はこれ、よく分からない」とか「教えてほしい」と言えるだけで、何かが動き出すことがある。オープンな心で、オープンな姿勢で質問すること。この世の中のすべてを知っている必要なんてないし、そんな人はいない。でも、たった5分の会話が自分の人生を変えることもあるし、もしかしたら相手の人生を変えることだってあるかもしれない。
私自身、新しいことを始めるときは、すでにやっている人に「どう思う?」と素直に聞いてきた。それだけ。
サーフィンも同じで、「準備が完璧に整う日」なんてきっと来ない。だから飛び込むしかない。ずっと岸で座って、完璧な瞬間を待っていても、そんな日はたぶん来ないから。

Ocean People Archive

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

Filed Under: LIFESTYLE 関連タグ:Ocean People, Samara Cribb, サマラ・クリブ, ビーチライフ, 連載

STORIES behind THE WAVES/映像の先に繋がるもの_06 田中未碧

2026.2.24. by 林芳史

サーフィンは、自然との深い対話を楽しむ文化だ。波の動き、太陽の光、その中で生きるサーファーたち。そこには、瞬間ごとに無限の可能性が広がっている。その可能性を映し出すのが、フィルマーの仕事だ。映像は単なる記録ではなく、彼らの“フィルター”を通して生まれる表現であり、心象風景を形にする、繊細なプロセスでもある。彼らの頭の中には、どんなビジョンが広がっているのか? それぞれの視点を通じて、サーフィンの魅力をどう表現しているのか? 6人のフィルマーの情熱と創造の世界に、少しだけ足を踏み入れてみた。




'90 年代の影響を受けた自由な映像の世界

2024年末にローンチしたサーフフィルム『Alreadynaked』は、これまでの常識を打ち破り、未来の映像を示した。仲間とのリレーションシップで作り上げる作品とは。



映像は“アート”ではなく、あくまでも“ 記録”

未碧(みりゅう)がカメラを手にしたきっかけは、「サーフィン映像を撮りたい」と思ったからではなかった。実家にあったビデオカメラを偶然手にし、何気なく弟のサーフィンを撮り始めたことが、映像制作に興味を抱くきっかけとなった。弟・田中透生(とうい)は11歳の頃から試合に出場し、現在はJPSAやWQS を主戦場に活躍するプロサーファー。その姿を撮るうちに、次第に映像の持つ可能性に気づき、のめり込んでいった。
もともとモノ作りが好きで、家具やサーフボードを自作することを楽しんでいた未碧にとって、映像制作もまた“モノを作る”という感覚に近かった。特に撮影よりも編集作業に強く惹かれた。映像素材を選び、音楽を組み合わせることで自分の感性やメッセージを表現できることに、大きな魅力を感じている。「映像制作の面白さはその過程にある」と語り、作業を通じて感じた空気感や思いを作品に込めることの大切さに気づいたのだ。

映画や音楽、スケートビデオを愛する未碧は、特に’90 年代のカルチャーに惹かれている。その当時の映像や音楽、ファッションが醸し出す自由で反骨的なエネルギーに共鳴し、そこからカセットのビデオカメラや8mmフィルムにも興味を持つようになった。映像制作において最も大切にしているのは、“空気感”だ。映画監督ハーモニー・コリンの作品や、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』といった、少し奇妙で奇抜な世界観に影響を受け、それを自身の作品に反映しようとしている。
「映画や音楽、スケートボードの映像を観るとき、『この作品は何を伝えたいのか』を常に考えています。特にスケートの映像は自由な表現が多く、学ぶことが多いです」
映像制作で目指しているのは、「視覚的に新しい体験を提供すること」。親友でカメラマンのレイ(オコレフィルム)と手掛けた『Boys On Analog』では、バリでの旅の模様を映像と写真集で表現。この作品を通じて、映像にストーリー性を持たせることの重要性を再確認したという。また撮影した映像は“アート”ではなく、あくまでも“ 記録”として捉えている。「おしゃれでカッコよく、アートっぽい映像を撮りたいというより、日々の記録を残している感覚で撮影している」と未碧。日常の何気ない一コマを切り取ることで、自然とアート的な要素が加わるのだ。また編集作業においても、その時々の感覚を大切にし、特定のテーマやスタイルに囚われず編集することで、結果的に「アートのような映像」が生まれることが多い。

制作には、弟や友人、カメラマンのオコレフィルム、サーファーでありAlreadynakedで3DCG アニメーションを手掛ける齋藤祐太朗といった仲間たちの協力関係が欠かせない。彼らとの意見交換やコミュニケーションが、新たなアイデアやインスピレーションの源となり、作品に反映される。この協力関係こそが、未碧の映像に独特の魅力を与えている。
「言葉にすると薄っぺらく聞こえるかもしれないですが、仲間とのコラボレーションで最も大切にしているのは「心」です。心で繋がっているからこそ、できあがった作品に愛着が湧き、良いモノが生まれると思っています」
未碧の映像制作にかける情熱と、自由かつ挑戦的なアプローチは、彼の作品に独自の魅力を与えている。都内で開催された最新作『AlreadyNaked』の上映会では、サーフィンをしない人たちからの反響も高く、自信を深めるきっかけとなった。最近では、茅ヶ崎の若手サーフィンチーム「C-boys」の活動に参加し、ビーチクリーンイベントを撮影、その様子を映像としてまとめた。この活動を通じて自然環境への意識が高まり、撮影中に無意識にゴミを拾うようになったという。こうした経験が、映像制作に新たな視点をもたらしている。将来的には、音楽やスケート、さらにはサーフィン以外のカルチャーとの融合を目指し、サーフィンに触れたことのない若い世代にもその魅力を伝えられる作品を作りたいと考えている。


「自分の作品を通して伝えたいのは、表現の自由さです。作品を発表する際、どうしても周囲の評価を意識してしまいますが、本来、表現は自由で楽しいものであるべきだと思っています」
自由であることを大切に、楽しいモノ作りを続ける、それが未碧の信念だ。映像は、彼にとって“ありのまま”を伝える手段。『Alreadynaked』のタイトルにもあるように、「映像を通じて、自分が思っていることをそのまま表現したい」と語る。因みに「ありのまま」という言葉は、見た目ではなく、内面のことを指している。
「言葉で伝えるのが苦手だからこそ、映像を通して自分の気持ちを表現できると感じています」
未碧はこれからも感性を磨き、映像を通じて新しい価値観や想いを発信し続けるだろう。彼の作品が今後どのように進化していくのか、ますます楽しみだ。



田中未碧 / Miryu Tanaka

茅ヶ崎市出身。偶然手にしたビデオカメラでサーフィンの撮影を始め、映像制作の魅力に引き込まれる。『Boys On Analog』、『Alreadynaked』など独自の表現方法でアプローチを仕掛ける。@miryu_tanaka

text_Nachos

>>SALT...#04から抜粋。続きは誌面でご覧ください

Filed Under: SURF 関連タグ:Alreadynaked, SALT...#04, STORIES behind THE WAVES, サーフフィルム, 田中未碧

【連載:Ride of a Lifetime】カナダからカリフォルニアまで、ヴァンで旅するサーファーの旅の記録_Episode 13/日々是好日

2026.2.18. by 林芳史

知られたくない海、知りすぎない自由

アメリカより物価は安いと聞いていた。だが実際には、毎日のキャンプ代がじわじわと積み重なり、ガソリン代も高い。気づけば、アメリカをロードトリップしていた時よりも出費はかさんでいた。さらにバハでは、四駆が望ましいとされている。途中には険しい道も多く、車両の整備にもある程度の投資が必要だった。幸い、メキシコのメカニックは古いクルマにとにかく強く、知識があり、工賃も安い。かなりのパーツを交換したが、アメリカでかかるであろう金額の5分の1くらいですんだ。
「ここなら大丈夫だろう」そう思い、節約のつもりで町の無料駐車場に泊まった夜もあった。だが朝方、運転席側のドアを開けようとする音で飛び起きた。
「メキシコは、安全をお金で買う国だ」
バハに入って間もなく、エンセナーダで寿司屋を営む日本人に言われた言葉が、強く胸に刺さった。生活に慣れると、人はすぐに油断する。だが、メキシコはそんな甘さを許してはくれなかった。

ヴァンの修理をお願いしたメカニック。飛び込みでお願いしたのに快く引き受けてくれた

旅の道中では現地の魚を握ることも。エンセナーダに店を構えるお寿司屋さん「村治郎」でもその機会をもらった

国境から南へ1時間ほど下ると、コアなサーファーの間では知られたポイントがある。
San Miguel(サンミゲル)──。
文字だけのガイドブックを頼りに辿り着いたそのポイントは、バハ半島でも屈指のブレイクを誇る。1980年代に未知なる波を求めて国境を越えたアメリカ人サーファーたちによって発見された、メキシコで最初にサーフされた場所とも言われている。現在ポイントの目の前は駐車場兼キャンプ場になり、入口にはゲートが設けられている。地元の人間によって守られたエリアだ。
サイクロンの残りスウェルで、きれいなライトが割れていた。自然とワックスを塗る手が速くなる。手前の大きな玉石と、石の間に潜むウニに注意しながらアウトへ出る。水量が多く、パワーがあり、ほどよく立ち上がりながらスピードよくブレイクしていく波だ。久しぶりにショートボードに乗りたくなった。
有名なポイントは、ベストコンディションの映像をSNSで何度も目にしているせいで、目の前の波に対する純粋な感動が薄れることがある。だがバハには、かつて「海に行くだけでワクワクしていた」あの感覚を思い出させる力があった。未知のブレイクを見つけた瞬間の高揚感は、良い波に乗れた時以上のものになることもある。波を眺めながらマインドサーフィンする、あの感覚だ。だが実際にパドルアウトすれば現実に引き戻され、自分の下手さに嫌気がさすこともある。それでも、この一連の流れごと新しい波と向き合う行為こそが、シンプルで、究極で、僕にとっての最大の営みなのだ。

冬の北うねりで本領発揮をするサンミゲル。沖合にはビッグウェーブで有名なスポットもある

知り合いから教えられなかったらスルーしてたであろうポイント。両方向にブレイクし、手前はビギナーでも楽しめる

別のポイントで撮影をしながらサーフィンしていた時、アメリカ人サーファーに声をかけられた。
「バハは昔のスタイルを大切にしている。SNSには上げないでくれ」
良い波が知られれば、すぐに人が集まり、たちまち有名スポットへと変わってしまう。知られたくない。そして、自分も知りたくない。そこに辿り着くまでは。アニメのネタバレをしてほしくないのと、きっと同じ感覚だ。未知の世界へ踏み込む勇気を持った者だけが味わえる波。サーファーのユートピアは、サーファー自身の手で守られていた。
世界のサーフスポットはほぼ発掘され尽くした現代でもなお、個々による未知の波を探し求める開拓が続いている。バハ半島に直撃しそうなサイクロンの様子を伺いながら、2週間滞在したエンセナーダを離れ、さらに奥へと進んでいった。

美味いタコス屋はスタッフの顔がとにかくいい! 自信が溢れる料理はやっぱりうまい

ワールドクラスの波の目の前でキャンプができる、サーファーにとっては夢の場所


古川良太(サーファー/鮨職人)
20代の3年間、カナダ、オーストラリア、インドネシア、中南米の波を求めて旅を重ね、サーフィンに明け暮れる。帰国後は鮨職人として6年間修行し、日本文化と真摯に向き合う日々を送る。現在は妻と共にヴァンライフを送りながら、カナダからアメリカ西海岸をロードトリップ中。旅の様子はYouTube「アーシングジャーナル」で定期的に公開。
Instagram / YouTube

Ride of a Lifetime Arcive

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