• 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/35_ガブリエラ・クリスティーナ
  • 2026.06.24

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Gabriela Cristina ガブリエラ・クリスティーナ
フロリダ生まれ、ニカラグア在住。ヨガ&スカルプインストラクターとして、「健康とは痩せることではなく、自分の身体を理解すること」をモットーに10年以上指導を続ける。現在はサーフタウンを拠点に、自然とともに生きるライフスタイルを送っている。

あなたのことについて教えて

フロリダ南部で生まれ育ち、現在は夫と保護動物たちとともに、ニカラグア南部のサーフタウンで暮らしている。ジャングルに囲まれた環境で、サーフィンをしたり、文章を書いたり、身体を動かしたり、大切な人たちと時間を過ごしたり。それが今の日常。健康やウェルネスへの情熱は、物心がついた頃からずっとある。
ニカラグアへの移住は、自分たちで選んだというより、この場所に呼ばれたような感覚だった。最初のきっかけは、友人が開催していたヨガリトリート。そこで施設のオーナーと知り合い、「雨季の間、試しに無料で住んでみたら?」と声をかけてもらったの。実際に滞在してみると、波は素晴らしかった。でも周囲にはほとんど何もなく、レストランもなければスーパーまでも1時間。まるで僻地のような場所だった。
その後、ニカラグアのさまざまな場所に滞在しながら友人たちと過ごしていたある日、売りに出ている土地の話になった。値段と場所を聞いた瞬間、「私、この土地を買うわ!」と言って、そのまま購入したの(笑)。もともとは、4か月だけのお試し移住のつもりだった。でも土地を買ったことで戻ってくる理由ができ、今年ついにフロリダの家を手放し、完全移住を決めたの。すべてが自然な流れで動き出し、気づけば人生そのものがニカラグアへ向かっていた。

キャリアのきっかけ

健康やウェルネスへの興味は、ずっと昔からあった。企業向けヨガを中心に週25クラスを担当しながら、サーフ&ヨガリトリートの開催、スタジオの立ち上げ、ティーチャートレーニングなど、形を変えながらキャリアを積み重ねてきた。それでもどこかで、「これが本当にやりたい形ではない」と感じていた。
転機になったのは、昨年メンタワイで経験した突然の病気だった。A型肝炎と診断され、4か月間ほぼ寝たきりの状態が続いた。でも、その時間があったからこそ、自分の中にあった想いがより明確になった。
「どうせベッドから動けないなら、アプリを作ろう」そう思い立ち、長年かけて作り上げてきた独自の“スカルプ”メソッド(筋力トレーニング)をオンラインで世界に届ける準備を始めたの。少しずつ回復しながらクラスの撮影を進め、それが現在のビジネスにつながっている。1年前の自分に「今こうなっているよ」と伝えても、きっと信じなかったと思うわ。
私が今、とくに大切にしているのは、女性の身体に合った健康との向き合い方。単に体重を落としたり痩せたりすることではなく、自分自身の身体やホルモン、筋肉について理解した上で健康と向き合ってほしい。今まで当たり前だと思ってきた知識を一度手放し、一から学び直すことが本当に大切だと思うの。

サーフィンとの出合い

サーフィンを始めたのは約12年前。フロリダ育ちだけれど、フロリダの波は不安定で、サーフカルチャーも独特だった。波を求めるには何時間もクルマを走らせなければならず、良いコンディションを逃せば次のチャンスがいつ来るかも分からない。19歳の頃、カリフォルニアに滞在していた時に友人に連れられて海へ行き、本格的にサーフィンにのめり込んだ。そこからは“サーフィンをするための旅”が始まった。フィジー、ハワイ、バリ、プエルトリコ。波を求めて世界中を巡った。最初はロングボードから始め、5年前にショートボードへ本格的に転向。この5年間は、本当に人生をショートボードに捧げてきたような感覚だわ。それでもサーフィンに終わりはないし、上達するためには、調子が悪い時も含めて、とにかく続けることが大切だと思っている。巻かれて、ボコボコにされて、それでもまた海へ向かう。するとある日、突然すべてが“カチッ”とはまる瞬間が訪れる。その瞬間があるからこそ、また次の波を追い続けたくなるの。
お気に入りの場所は間違いなくインドネシアのメンタワイ。毎年訪れることが何より楽しみになっている。美しい波、美しい自然、そして人生そのものを整えてくれるような時間がそこにはある。
次に行きたい場所はタヒチ。波だけでなく、景色も自然も文化も、そのすべてが美しいから。

自然との関係を言葉で表すなら?

まず思い浮かぶのは、「癒し」「自分を見つめ直す時間」、そして「リセットされる感覚」。自然は、私にたくさんのインスピレーションを与えてくれる存在でもある。海は、その日の自分の状態を映し出してくれるものだと思う。
「今日はすごく調子がいい」と思って海に入っても、実はそうではなかったことに気づかされることがある。まるで海が、自分の本当の状態を見せてくれるような感覚。同時に、海や自然は私にとって最も癒される場所であり、最もクリエイティブなエネルギーをもらえる場所でもある。自然の中にいる時、そして海に入っている時こそ、自分らしくいられる瞬間。

あなたの人生に欠かせない3つのもの

自由、健康、そしてサーフィン。

これから数年の夢や目標は

今やっていることを、そのまま続けていくこと。今の私は、とても良い流れの中にいる感覚がある。健康でいられて、夢の家を建てていて、大好きなニカラグアで暮らしながら、大切な人と旅を続けている。それだけで十分幸せ。

これから何か新しいことを始めたい人にアドバイスをするなら?

少しタブーかもしれないけれど、「誰にも話さないこと」だと思う。新しい夢やアイデアを持った時、それを人に話せば話すほど、相手の価値観や不安、偏見までもが入り込んできてしまうことがある。
本来、夢は誰かに理解される必要なんてないと思うの。だからこそ、まずは静かに始めてみること。周囲に説明しすぎず、自分の感覚を信じて動いてみる。そして形になってから、「実はこれをやっていたんだ」と伝えればいい。周りを気にせず、自分だけの“魔法みたいな感覚”の中に入り込むこと。クリエイティブな高揚感や、自分の中にある熱量を大切にして。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

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