Profile
笹子 夏輝 - Natsuki Sasako -
1994年神奈川県茅ヶ崎市生まれ、鎌倉市在住。18歳から25歳までのプロ活動を経て、フリーサーファーに転向。現在はキャプテンズヘルムに勤務する傍ら、サーフブランド〈DANBUOY〉をハンドリング。次世代のプロサーファーへ道を示すべく、日々活動を続けている。
2019年にプロを引退後、フリーサーファーやブランドプロデューサーとして、ネクストステージで活躍する笹子夏輝。競技時代とは一転、オルタナティブなサーフィンで見る者を魅了する彼が、移住や旅、人との出会いを経てたどり着いた“思いがけない発見”とは。
「今日は陽射しが暖かいけど、風がちょっと冷たいですね」
ビーチでの撮影後、インタビューのために入った鎌倉のカフェで、夏輝が静かにそうこぼした。「そんな日にごめんね」と恐縮すると、彼は白い歯を見せて「おかげでコーヒーが美味い」。こちらに気を遣ってくれたのか、それとも素の感想なのか。いたずらっぽい笑顔からはうまく読み取れなかったが、夏輝は子どもの頃からそんなふうに、どこかミステリアスな魅力を持っていた。
プロを退いたのが25歳。以降、フリーサーファーになった彼は、数年前、生まれ育った茅ヶ崎を離れて鎌倉に移り住んだ。なるほど、茅ヶ崎で彼の姿を見なくなったわけはそういうことか。でも、いったいどうして?
「特に理由はないんですよね。強いていうと、新しい世界をのぞいてみたかったから」と言うと、夏輝はコーヒーで唇を湿らせてから続けた。「会社の上司が近所に住んでいるんですよ。その生き方に影響されて、というのも大きかったかもしれない」
東京・千駄ヶ谷のセレクトショップに勤め出したのが27歳。少し前までプロサーファーだった夏輝にとって湘南と都内の往復生活はストレスフルにも思えたが、「見方を変えればチャンスだった」という。
「この際だからいろいろ学ばせてもらおうと思って。お店の業態的にサーフィン以外の商品ラインナップも豊富で、スノーやキャンプなどの業界にも関わりやすかったんです。そこで感じたのは、“同じアウトドアなのに、カルチャーが全く違う”ということでした」
幼い頃から親しんできたサーフィンから離れることでたどり着いた境地。すると、普段から何気なくまとっていた洋服や装飾品の一つひとつに、歴史や文化が詰まっていることに気づいた。
「この前、カリフォルニアを旅したとき、サーフィンついでに古着屋へ寄ってみたんです。お店に入ってみたら、サーフィンとまた違った面白さがあって。うまく言葉にできないけど、全てがかっこよかった。そういう経験をしたおかげで、最近は洋服をちゃんと選んで着るようになりました。サーフトリップのときも、スウェットにビーサンじゃなくて、ジージャンに革靴を履くようになったんです。今は『海に出かけるときこそ決めていこう』と密かに考えています」。
>>インタビューの続きは本誌でご覧ください。
「SALT…Magazine #01」 ¥3,300
本誌では笹子夏輝のインタビューを全文掲載。昨年、同世代のフリーサーファー小林直海と立ち上げた冬のサーフギアブランド〈DANBUOY〉のこだわりから、「夏輝にとって海とは?」について語ってくれています。
photography _ Pero, Shuji Nihei(surfing) text_Ryoma Sato
© SALT… Magazine All Rights Reserved.
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