10年単位でサーフィンの歴史を振り返るTHE HISTORY of SURFING。第3回目は1970年代をピックアップ。サーフボードデザインとサーフィンの基準が定まらないまま突入した1970年代。一時期はブルーワーのミニガンかマクタビッシュのVボトムかの二択といわれていたが、多様なデザイン実験の末に、後世にも愛されるボードがこの時代に次々と誕生している。
サンディエゴのニーボーダーのスティーブ・リズは1967年にデュアルフィンでスプリットテールのフィッシュを生み出す。それがサンディエゴで独自に進化し、'70年代になるとヌヒワやジム・ブレアーズがフィッシュに乗ってコンペで優勝し一気に流行する。キャンベル・ブラザースが作った3フィンボンザーも、イアン・カーンズが1973年のスミノフ・プロアマで乗って優勝したことで、そのポテンシャルが証明された。他にもエッグをスキップ・フライが、ハルをグレッグ・リドルが、スティンガースワローをアイパがデザインし、ボードのカテゴリーは多岐にわたっていった。
また、いまでは当たり前のサーフギアもこの時代に多数発明・開発されている。
取り外しが可能なフィンシステムW.A.V.E.をトム・モーリーが開発すると、フィンの位置調整が可能なガイダンス・システムが登場し、フィンズ・アンリミテッドも同様のコンセプトのフィンボックスで1971年に特許を取得。初のサーフリーシュもこの時代の発明である。直後にリーシュプラグもコン・コルバーンによって開発される。セックスワックスやスティッキーバンプスなどが'70年代初頭に創業、ワックス市場も活況を呈した。
サーフボードデザインのバラエティ化にともない、スタイルごとにサーファーも多様化した'70年代。
ハイパフォーマンス・サーフィンといえばラリー・バートルマン、マイケル・ピーターソン、デーン・ケアロハ、パワー・サーフィンならジェフ・ハックマン、バリー・カナイアウプニ、テリー・フィッツジェラルド、チューブライディングならジェリー・ロペス、ローリー・ラッセル、ショーン・トムソンといった具合だ。
反戦運動と世界的なヒッピームーブメント、'60年代から沸き起こったさまざまな人権運動などを経て反体制的なムードがピークに達して幕を開けた'70年代は、サーファーのマインドが大きく変わった時代でもある。
ハワイのノースショアはアメリカ本土のサーファーにとっては徴兵から逃れる格好の逃避先となった。実際に野宿同然の暮らしをする者や自家菜園を持ち自給自足するサーファーも、長閑なオアフの海岸線沿いには少なからずいた。
アンチコンペの空気が漂っていた'70年代前半にも、それまでと変わらずコンテストは世界各地で開催されていた。ただそれらはずっと、異なる独立した団体により運営されていた。
1976年にサーキット形式の世界選手権プロサーフィンツアーを運営する団体IPS(インターナショナル・プロフェッショナル・サーファーズ)がフレッド・ヘミングスとランディ・ラリックにより発足する。以前からスポンサー集めに長けていてオーガナイザーとしての高い資質を持っていたヘミングスは、'70年代前半のハワイで行われる主要イベントでコンテスト・ディレクターを務めていた。
全文は本誌もしくは電子書籍でお楽しみください。
次回は、1980年代をピックアップします。
text_Takashi Tomita
SALT...#01「THE HISTORY of SURFING」より抜粋
1950年代の記事はこちら
1960年代の記事はこちら
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