湘南・茅ヶ崎から羽ばたくオリンピアン、松田詩野(TOKIOインカラミ所属)。リベンジとなる2024パリ五輪、舞台はサーフィン発祥の地であり、ビッグウェーブの聖地でもあるタヒチ・チョープー。オリンピックまで20日を切ったいま、松田が感じていることの後半をお届けします。
Q.:メンタルトレーニングはしていますか。
A.:自主的に心掛けていることはあります。勝負の世界にいるからこそ、勝ち負けに一喜一憂しすぎないようにしています。アップダウンが少ないほうが本番で力を出せると思うので。実際には難しいときもたくさんありますけど。
Q.:海に入っていない時間は何をして過ごしていますか。
身体のケアをしている時間が多いです。自分に合うオイルマッサージのお店を探して施術してもらったり。決まった場所があるわけではなく、海外遠征のときもよくリサーチしていろいろな所に通っていました。あとは家族と過ごしたり、友人とカフェに行ったり、本を読んだり……。意外と普通です(笑)。
Q.:サーフィン以外に何かスポーツはしていますか。
A.:基本的に身体を動かすことが好きなので、山に登ったり、水泳をしたり、いろいろやっています。気分が落ち込んだときはくよくよ悩むよりも、運動してすっきりするほうが好きです。
Q.:一方で読書もされると。どんな本を読んでいますか。また、よく聴く音楽があれば教えてください。
A.:最近だと「1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」、「最強の身体能力 プロが実践する脱力スキルの鍛え方」などを読みました。音楽は……好きなアーティストがたくさんいて絞れないのですが、近頃はSZAの曲をよく聴いています。ヒップホップやR&Bを聴くことが多いかな。
Q.:今後、プライベートでやってみたいことはありますか。
A.:サーフィン以外ならカフェの経営をしてみたいです。それくらいカフェが好きなんですよね。来た人を元気づけたり、リラックスできる空間をつくってみたい。あとは環境問題に関心があるので、今後はそちらの勉強もしてみたいです。オリンピック会場のタヒチでも、ジャッジタワーの建設が問題になっていましたよね。サーフィンは海ありきのスポーツなので、ビーチクリーンはもちろん、そういったニュースにも関心を向けておきたいです。
Q.:素敵ですね。そのオリンピックでは金メダル獲得を目指すことになりますが、他にも具体的な目標はありますか。
A.:世界中の人に、サーフィンの魅力が伝わるパフォーマンスをしたいです。ビッグウェーブにチャージすることで「日本人の女の子でもできるんだ」ということを証明したい。それが、他の女の子の背中を押すきっかけになれば。
Q.:ありがとうございます。最後に、改めてオリンピックへの意気込みを聞かせてください。また、応援してくれている女性ファンに向けて一言お願いします。
A.:チョープーでのオリンピックはおそらく二度とないので、後悔のないように挑みたいです。私の姿を見て、同じようにオリンピックを目指す女性サーファーが増えてくれたら嬉しいです。そうでなくても「好きなことを見つけて、全身全霊で楽しむこと」を伝えられたら最高です。
photography _ Nachos text _ Ryoma Sato
SALT...#01「ROAD to OLYMPIC」より抜粋
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湘南・茅ヶ崎から羽ばたくオリンピアン、松田詩野(TOKIOインカラミ所属)。リベンジとなる2024パリ五輪、舞台はサーフィン発祥の地であり、ビッグウェーブの聖地でもあるタヒチ・チョープー。オリンピックまで残り1ヶ月。松田が感じていることを2回に渡ってお届けします。
Q.:パリオリンピック日本代表選手に内定したときの気持ちを教えてください。
A.:決まったときは素直に嬉しかったし、ホッとしました。でもすぐに、舞台であるタヒチ・チョープーをイメージして「チューブライディングのスキルを上げないと」と現実的に考えていました。
Q.:アスリートらしい切り替えの早さですね。応援してくれている方々の反応はどうでしたか。
A.:東京オリンピック出場を逃したときの悔しさを知っているだけあって、みなさん、とても喜んでくれました。とくに家族や友人、地元の方々の応援が練習やトレーニングの励みになっていたので、少しだけ恩返しができたのかなと。
Q.:実際にタヒチに渡ってチョープーにもチャージされていましたね。手応えはありましたか。
A.:はい。初のチョープーで、しかも波が大きかったので恐怖はありました。でも、そういう感情を持てたこと自体がいい経験になったと思います。現地のコーチから地形やバレルの種類などローカル・ナレッジもシェアしてもらえたので、五輪を見据えた練習になったと思います。
Q.:インドネシアにも何回か訪れていますよね。
A.:ウルワツやニアスにはパワフルな波が多いので何回も行きました。でも、一番記憶に残っているのはスンバワです。同じクオリティのマシンウェーブがブレイクしているので、やりたい技を何回もできていい練習になりました。
Q.:チョープー用にサーフボードのセッティングも変えていますか。普段は5'6″のボードに乗っているそうですが。
A.:今回の遠征で一番使ったレングスは6'1″で、いつもより長めです。掘れた大波に対応できるように普段乗っているボードより重くして、幅も狭くしてもらいました。ロッカーも少し強めです。フィンセッティングはクアッドがよかったかな。チューブの中でもグン! と加速してくれました。
Q.:では、オリンピックに向けて取り組んでいるトレーニングはありますか。
A.:大波に挑戦することになるので、まずは高強度の有酸素運動で体力をつけています。あと意識しているのは、ケガをしにくい体づくり。以前に肩の亜脱臼を経験したので……。スポンサーである「森永製菓inトレーニングラボ」でメニューを組んでもらっています。
Q.:他にも行っていることはありますか。
最近は初心に戻って、パドルトレーニングにもチャレンジしています。プールにサーフボードを浮かべて、ゴムチューブに引っ張られながら漕いだり……。トレーナーの意見を聞いて、フォームを改善することもあります。
Q.:そんなことまで! たしかに、パドリングを人から教わることってありませんよね。
A.:そうなんです。だからこそ指摘されて初めて分かることもあって新鮮です。おかげで肩が疲れにくくなったので、サーフィンのパフォーマンスにも繋がっていると思います。
photography _ Nachos text _ Ryoma Sato
SALT...#01「ROAD to OLYMPIC」より抜粋
後半へ続く……
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