#ビーチライフ

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/24_パトリシア・ピサンマ
  • 2025.10.21

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Patricia Phithamma パトリシア・ピサンマ
ハワイ生まれサンディエゴ在住。機能性とデザインを兼ね備えたスイムウエアブランド「Tan Madonnas」を立ち上げ、海を愛するすべてのアクティブな女性たちに向けて発信している。

あなたのことについて教えて

生まれはハワイのオアフ島。6歳のときにアメリカ本土のワシントン州へ引っ越したけれど、それ以降も頻繁にハワイには戻っていた。父がサーファーだったこともあって、幼い頃から海で過ごす時間が大好き。いつか自分もあんなふうにサーフィンができたら──とずっと憧れていた。
高校を卒業した8年前、カリフォルニアのサンディエゴにへ移り住み、今もここを拠点に生活している。サンディエゴは、サーフィンとアメリカのカルチャーがバランスよく混ざり合う、とてもクールなサーフタウン。サーフィンを本格的に始めたのも、この街に引っ越してきてから。
お気に入りのサーフスポットは地元のラホヤ。特別に波がいいわけではないけれど、海に行けば必ず友達に会える。その“ホーム感”がたまらなく好き。
そして、世界で最もパーフェクトな波がある──インドネシアのメンタワイ諸島。あそこは本当に特別だと思う。
次に行きたい場所はモルディブ。楽しそうなライトの波がたくさんあるし、サーフィン以外にもできるアクティビティが充実してるから、近々行きたいと思っている。

ブランドを始めたきっかけ

スイムウエアブランド 「Tan Madonnas」を立ち上げたのは2022年。海の中でもしっかりホールドしてくれるビキニ、そしてアクティブウエアとしても着られるデザイン性のあるビキニをずっと探していたけれど、なかなか“これだ”と思えるものに出合えなかった。それに、サンディエゴ発のブランドって意外と少なくて、だったら、自分で作ってみよう! と思ったのがきっかけ。最初は試行錯誤の連続だったけど、今ではブランドの方向性も明確になり、どんなデザインを展開していきたいかもクリアになってきた。やっと軌道に乗ってきたなって感じている。
「Tan Madonnas」を着た女の子たちがサーフィンやスケートをしている写真を見ると、「本当に作ってよかった」と心から思う。これからの目標は、もっと多くの人に手に取ってもらうこと。そして、アクティブでクールなガールズたちが繋がれるコミュニティや、サーフトリップなども企画していきたいと思っている。

海、自然との関係を言葉で表すなら?

海のない生活は考えられない。仕事で行き詰まったとき、リフレッシュするためにパドルアウトして、思いがけずいい波に乗れた瞬間に、ムードが一気に変わったりする。サーフィンをしていなかったら行かなかったような場所にも行くようになったし、海以外では出会えないような面白い人たちにも出会えた。いい意味で、サーフィンは人生を変えてくれたと思う。
他のスポーツや趣味と違って、サーフィンには終わりがない。長く続けているからといって必ず上手くなるわけじゃないし、ひとつの技を習得するのに何年もかかることもある。それに気づいたとき、焦らず自分のペースで続けようと思えた。サーフィンは私の人生の一部だし、これからもずっと人生の基盤であり続けると思っている。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

ビーチサロン、サーフボード、そしてもうひとつはすごくランダムだけど——アイブロウペンシル!


何か新しいことを始めたい人へのアドバイス

何かを始めるときに、すべてが揃うまで待たなくてもいいと思う。まずは始めてみて、そこから試行錯誤を重ねればいい。完璧なタイミングなんてないと思う。
そして、ときにはプロの力を借りることも大切。ウェブサイトを作ってもらったり、デザイナーに相談したり。自分では気づけない視点を持っている人たちから、学べることって本当にたくさんあるから。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG #####

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/23_ジェシカ・マルティーニ & ウリエル・ジーン・アーメル
  • 2025.09.11

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Jessica Multini ジェシカ・マルティーニ
Uriel Jean Armel ウリエル・ジーン・アーメル
バリ島ウルワツ在住。ウルワツにあるサーフショップショップ「KARMAFREE Surf Shop & Café」のオーナー。エシカルで地球に優しいプロダクトを販売しながら、自然に寄り添い、波ともに暮らしている。

あなたのことについて教えて

Jessica Multini
ブラジルのサンパウロ出身。ブラジルにいた頃は心理学を学びながら企業で働いていたけど、正直あまり幸せじゃなかった。常に不安や鬱のような感覚があり、自分自身や自然から切り離されているように感じていた。そんな時に出合ったのがヨガや瞑想。それをきっかけに少しずつ自分を取り戻し、約11年前にアジアを旅することを決意した。
そしてバリに来て、自然への祈りやお供え物の文化に触れたとき、日々を献身的に生きるその姿に心から惹かれた。その瞬間からバリに恋をし、気づけばもう11年近くここで暮らしている。

Uriel Jean Armel
生まれ育ちはフランスのビアリッツ。インドネシアに来たのはもう10年前のこと。当時は国際ビジネスを勉強していて、インターンシップのためにシンガポールに滞在していた。その頃からインドネシアへ頻繁に旅をするようになり、この土地の文化や波の良さにどんどん惹かれていった。
そこから少しずつ道がインドネシアへと繋がっていき、勤めていた会社を辞め、自分を新しく作り直すようにして映像や撮影の仕事を始めた。スマトラの離島にあるリゾートでフォトグラファー兼ビデオグラファーとして過ごした時期もある。そして昨年は、仲間と一緒に制作したドキュメンタリー映画を公開。そのタイミングで、自分たちのショップ「KARMAFREE」をバリ・ウルワツにオープンして、大きな節目を迎えた。

ショップ「KARMAFREE」を始めたきっかけ

Jessica:バリに移住したとき、私は不安や鬱を経験した後で「自分の本当の目的に沿ったことを創りたい」と強く思っていた。ヨガや瞑想はその過程で大きな助けとなり、「どうすれば自分の内側に秘められた想いを表現し、分かち合えるのか」という問いを探すようになった。
その答えのひとつが“創造”だった。インドネシアのサステナブルな要素を取り入れ、小さなブランド MEISOUを立ち上げ、ジャーナル用のノートやヨガ・瞑想用のクッション、ヨガウエアなど、自己の成長を支えるアイテムを販売し始めた。私は常に「バリの人々とどのように協力し、自然を傷つけない形でプロダクトを開発できるか」に関心を持ち続けてきた。それが今の活動の原点になっている。
その後Urielと出会い、海とのつながりを深く持ち、強い情熱を抱く彼の影響で私もサーフィンを始めた。波に乗ることを学ぶ中で、自然とふたりで「情熱を組み合わせて何かを創ろう」という流れになっていった。

Uriel:KARMAFREEをオープンしたのはパンデミックの頃。私たちはバリ北部のバリアンに住んでいて、ある朝、長いビーチウォークに出かけた。雨季のビーチは大量のゴミで覆われていて、とても拾いきれない。だから「歯ブラシと歯磨き粉だけに絞ろう」と決めて拾い始めた。家に戻ると、ジェシカが「それを全部どうするの?」と聞いてきた。私は「カルマを浄化しているんだよ」と答えたことを覚えている。人は生まれてからいったい何本の歯ブラシと歯磨き粉を使ってきたのだろう。そのいくつかは違法な埋め立てやビーチに流れ着き、また自分たちの目の前に戻ってくる。これはまさに“カルマ”だと思った。そこから「カルマのないプロダクト、つまり“Karmafree”なものを作るべきだ」というアイデアが生まれた。私は本気で、ガラス瓶に入った化学物質を使わない歯磨き粉を作りたいと思った。レシピを調べて実際に作ってみたが、味があまりにもひどく「これは無理だ」と諦めた。つまり名前は決まったものの、肝心の中身はまだ何もなかった。残ったのは「KARMAFREE」という名前だけだった。
ちょうどその頃、自分のセルフドキュメンタリー制作にも取り組んでおり、資金を集めるためのトレーラーを完成させ、ウルワツやチャングー、ウブドなどバリ各地で上映会を開いた。上映会用に着るシャツが欲しくて、お気に入りのデザインをもとにジェシカに作ってもらった。それが天然染料とオーガニック生地を使った、藍の植物で染められたインディゴブルーのシャツだった。
上映会では多くの人から「そのシャツ素敵!」「どこで買えるの?」と声をかけられ、そこから少しずつシャツ作りを始めた。やがて多くの人に求められるようになり、嬉しい成功体験となった。その流れの中で「自分たちのクリエーションを発表する場を持ちたい」「人々がつながれる場所をつくりたい」と思うようになった。ただモノを作るのではなく、もっとエシカルで責任ある形で、地球を汚さず資源を浪費しないやり方で創造を続けること。それが“KARMAFREE”の根底にある想いだ。
そしてショップを訪れる人々との会話を通じて、その可能性を共有していきたいと考えている。「プラスチックのパッケージを紙やガラスに変えてみた」――そんな小さな工夫でも、コミュニティで分かち合うことでお互いにインスピレーションを与え合い、持続可能な未来への移行を後押しできると信じている。

サーフィンを始めたきっかけ

Uriel:生まれ育ったフランスではほとんどサーフィンをしておらず、本格的に始めたのは20歳のとき、メキシコへの交換留学がきっかけだった。メキシコでサーフィンに出合い夢中になった。当時一緒にいた友人がすごく上手なサーファーで、その冒険についていくようにしてサーフィンを続けた。
でも正直、私にとっては半分“自殺行為”のようなものだった(笑)。何度も危険な状況に飛び込んでしまったけど、その経験が逆に「自分はこれからどこへ向かうべきか」という羅針盤のようになった。
大学では国際ビジネスを専攻していたものの、授業はあまり楽しめず、就職先も都市部が中心だった。リタイアして身体がボロボロになってからサーフィンを始めるなんて考えられなかったら、学生ローンを返し終えたタイミングで「これからは本当にやりたいことに集中しよう」と決めて、インドネシアに移住した。それ以来、波と共に生きている。次に行きたい場所はフレンチポリネシア。

海、自然との関係を言葉で表すなら?

Jessica:サーフィンをしているときはもちろん、ビーチを歩いているときやハイキングをしているときもそう。自然の中にいるときは、“今”という時間に集中できる。日常の喧騒に邪魔されることなく、その場所や、そこにいる人との会話を楽しめる私にとって大切な時間。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

Jessica:良質な睡眠、自然の中で過ごす時間、瞑想
Uriel:旅をすること、サーフィン、家族と友達


今後の夢や目標は?

Uriel:洋服や食べ物といったクリエーションを通して表現を続けながら、その枠を少しずつ広げていきたい。そして同時に「これをもっと記録に残したい」という想いも強くなってきた。そのひとつの形として、ポッドキャストの制作も考えている。これまで私たちにインスピレーションを与えてくれた人たちにインタビューを行い、その声をシェアすることで、さらに多くの人が互いに刺激し合える場をつくりたい。
正直、世界で起きている破壊や環境問題を目の当たりにすると、希望を失いそうになることもある。だからこそ私たちは、お互いに光を分かち合い、励まし合うことが必要だと思う。ポッドキャストはその一つの方法であり、今後はショップでのコミュニティイベントも増やしていきたいと考えている。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG ######

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/22_スカイ・ガンドライ
  • 2025.08.28

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Sky Gundry スカイ・ガンドライ
ニュージーランド出身。幼い頃から海と共に育ち、現在は自身のサーフスクールを運営しながら、サーフリトリートを主催している。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちはニュージーランド北島のケリケリという場所。高校時代、サーフィンを教えるコミュニティを立ち上げたことをきっかけに、以来フルタイムでサーフスクールを運営している。
インドネシアが大好で、毎年サーフトリップで訪れている。今年9月には、ロテ島で初めてのリトリートを10日間開催する予定。ライクマインドなガールズたちと出会えるのを、今からとても楽しみにしている。
幼い頃から海は常に身近な存在で、父がサーファーだったこともあり、物心ついたときにはすでにサーフボードが遊び道具のひとつだった。8歳でサーフィンを始め、高校時代はコンペにも出場していた。それが今ではパッションとなり、仕事にもつながっていることにとても感謝している。
お気に入りのサーフスポットは、ホームの近くのタウポ・ベイ。ビーチブレイクでどんなレベルのサーファーにも最適だけど、スウェルが入ればバレルにもなるスポット。ここで何度も最高のセッションを重ねてきた、お気に入りの場所。次に訪れたいのはロンボク島とフィリピン。多くのサーファーからその魅力を聞いていて、近いうちに必ず行きたいと思っている。

海、自然との関係

海にいると心が落ち着き、自分自身も穏やかになり、地に足がついた感覚を得られる。その時間はとてもパワフルで、自信や強さを育ててくれる。海は成長するための特別な場所であり、自分と向き合うきっかけや新しい気づきを与えてくれる存在。海が当たり前にある生活にとても感謝している。
高校時代は、多くのティーンエイジャーと同じように、人間関係やいじめで苦しんだ時期があった。だからこそ、サーフィンはより一層特別な存在となった。父や家族と自然の中で過ごす時間によって、学校での悩みから少し離れられ、サーフィンに没頭することが救いになった。状況を俯瞰することで自分を取り戻し、「本当に大切なものは何か」を考えることができた。サーフィンはあの時期を乗り越える大きな支えであり、今の自分をつくる力になってくれた。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

サーフボード、4歳年下の妹、カメラ。一緒にサーフトリップに行ける妹がいることって最高だし、サーフィンを通じて彼女との絆も一層深まった。

今後の夢や目標は?

サーフスクールをさらに成長させたい。そしてずっと計画してきたリトリートを本格的にスタートさせたいと思っている。まずは9月のリトリートを成功させ、来年はより多くの場所で開催できたらと思っている。サーフィンは私にとってとても大きな意味を持つものだからこそ、その魅力を他の女性たちとシェアしたい。海を通じて女性たちが文化や人とつながれる場をつくること。それが今の私の大きな目標のひとつ。

何か新しいことを始めたい人へのメッセージ

自分がやっていること、自分という存在そのものに自信を持つこと。「それで大丈夫」「きっと上手くいく」と思えることが大切。やると決めたならしっかり向き合い、思いきってチャレンジしてみてほしい。たいていのことは進めばうまくいく。未知の不安が一歩を妨げることもあるかもしれないけど、だからこそ自分を信じて、選んだ道を歩んでほしい。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG ####

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/21_ソフィー・フレッチャー
  • 2025.08.08

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Sophie Fletcher ソフィー・フレッチャー
オーストラリア・フィリップアイランド出身。フリーサーファー兼グラフィックデザイナー。世界中を旅しながら、サーフィンとアートを通じて“自由に生きる”ことの魅力を発信している。

あなたのことについて教えて

生まれ育ちは、オーストラリア・ビクトリア州南部にあるフィリップアイランドという場所。両親がサーファーだったから、物心ついた頃から海がすぐそばにある生活をしていた。11歳のときに本格的にコンテストに出るようになって、地元のボードライダーズクラブや州の大会、国内の大会などに出場してた。その後、約5年間はWSLのQS(予選シリーズ)を転戦してて、いろんな国を旅しながら試合に出てた。2020年のパンデミックで旅が制限され、大会に出る機会は減ったけど、今でもフリーサーファーとして旅をしながら波に乗ることが生活の一部となってる。
今はゴールドコーストとバイロンベイの間にあるキャバリタという町に住んでいて、グラフィックデザイナーの仕事をしながら、“サーフィン × 旅”のライフスタイルを楽しんでる。

デザインを始めたきっかけは?

子供の頃から絵を描いたり、何かをデザインすることは好きだったんだけど、5年ほど前、友人のサーフボードにマンダラアートを描いたら予想以上にうまくできて、周りの反応もすごくよかった。そうしたきっかけが後押しとなり、パンデミック中に自分のウェブサイトを立ち上げて、本格的にデザインを仕事にしていくことにしたの。
そのあとNSWへ引っ越したタイミングで、地元のマーケットに出店し始めて、自分でデザインしたステッカーやポストカードを売るようになったの。そういう場所では、感覚を持った人々と出会うことができたし、今もその出会いの一つひとつがわたしの糧になっている。マーケットでの販売は、今でもわたしの大切な活動のひとつ。作品を手に取ってくれた人と直接話ができ、その場でリアクションをもらえることが何より嬉しい。この仕事は、わたしにとって“趣味の延長”のような感覚でもある。好きなことを形にして、それを誰かが喜んでくれる今の環境には、心から感謝している。

サーフィンのキャリアと現在のスタイル

QS時代は、世界中を旅しながら試合に出る日々が本当に楽しかった。その一方で、いつも旅費や滞在費のことを考えながら行動しなければならず、時には勝つために戦略的なサーフィンを求められることもあった。プレッシャーの中で戦うのは簡単ではなかった。
今でも友人の試合を見ていると、あの頃の緊張感や高揚感を懐かしく思うことがある。でも今は、賞金や順位に縛られず、自分のスタイルで波に乗る自由なサーフィンを楽しんでいる。'90年代をテーマにした大会などにも出場していて、プレッシャーから解き放たれたような感覚。今の自分には、この“楽しむことを最優先にする”スタイルがとてもしっくりきている。
これまでのサーフィン経験の中で、最も印象に残っている場所は南アフリカのJ-Bay。パワフルで長く続く波は、カービングやスナップが得意なわたしのサーフィンスタイルとぴったり合う。インドネシアも大好きな場所のひとつ。いつ訪れても完璧な波に出合えるし、オーストラリアからも近くて行きやすい。
次に行ってみたい場所はモロッコ。写真や映像で見るあのライトハンドのポイントブレイクに、一度は乗ってみたい!

あなたにとって「海」とは?

わたしにとって海や自然は、「自由になれる場所」。現代の生活では、スマートフォンやSNSが常にそばにあり、誰が何をしているか、すぐに目に入ってしまう。そうした日常から意識的に距離を取れるのが、サーフィンの時間。完全にオフラインになって、自然と一体になる感覚。それを家族や友人、パートナーと共有できることは、かけがえのない喜びだと思う。波をシェアしながら、海の中で笑い合う——そんな瞬間があるからこそ、わたしはサーフィンをやめられない。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

サーフィン、心から信頼できるパートナー、家族。

今後の夢や目標は?

キャリアの面では、ヨーロッパのマーケットに出店したいと思っている。過去にサーフィンの大会で訪れたヨーロッパには、美しい海と風景、そして豊かな文化がある。その地で、自分のデザインを多くの人に見てもらい、手に取ってもらえたら嬉しい。
サーフィンに関しては、これまで通り旅を続けながら、世界中の文化と波に触れていきたい。どこにいても、自然の中で自分らしくいられる時間を大切にしていたい。

サーファーへのアドバイス

初めてサーフボードの上に立てたときのフィーリングを、いつまでも忘れないでいてほしい。「バレルに入りたい」とか、「もっと鋭いターンができるようになりたい」といった目標は、とても大切。でもサーフィンには終わりがないから、ときには自分が成長しているのか分からなくなることもあるし、うまくいかずに落ち込むセッションだってある。それでも、「楽しむこと」を常にいちばん大切にしてほしい。わたしはサーフコーチの資格を持っていて、初心者と接する機会も多いけれど、彼らの笑顔を見るたびに、「自分がなぜサーフィンをしているのか」を思い出させてくれる。初心に戻れる、大切な瞬間だと思っている。
そして、仲間を見つけることもとても重要。ひとりでは気が乗らなかった波も、友達と一緒にパドルアウトすることで、思いがけないほど楽しくなることがある。そういう小さな発見や喜びが、サーフィンをもっと好きにさせてくれるはずだから。

photography_Oscar James, Kieren Tunbridge, Mikey Conlon

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG ####

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/20_シャーロット・パイパー
  • 2025.07.23

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Charlotte Piper シャーロット・パイパー
ドイツ出身のフォトグラファー。現在はインドネシアを拠点にしながら、サーフブランド、リトリート、世界各地のイベントを撮影している。

あなたのことについて教えて

生まれはドイツ・ベルリン。幼少期に北ドイツの海岸沿いへ引っ越したのをきっかけに、サーフィンを始めた。夏になると波が豊富なフランスへ家族で出かけ、毎日のように海に通ったのを今でもよく覚えている。その頃から写真にも興味を持ち始め、大学ではフィルム写真を専攻。いつか、サーフィンと写真を仕事にできたらと、ずっと思い描いていた。
初めてバリを訪れたのは2010年。当時のバリはまだ田園風景が残り、カフェやレストランも数えるほどだった。サーファーたちは“アイランド・タイム”で、のんびりと波を追いかけ、そんな風景にすっかり恋をした。そして、ここを拠点にしようと決意した。
バリに移住する前は、オーストラリアのバイロンベイに4年半ほど滞在していた。自然と調和したライフスタイルのなかで、スタイリッシュなサーファーたちをカメラに収め、多くのクリエイティブな繋がりを築いていった。本格的にサーフィンを始めたのもこの頃。バイロンベイの有名なスポット“The Pass”で、まるで踊るように波に乗るサーファーたちを見て、強く心を動かされたのを覚えている。
愛用しているボードは、Suketの9’4”シングルフィン。最近は仕事が忙しくて海に行く時間が減っているけど、隙間時間で海に入ると、「やっぱりサーフィンって人生のエッセンスだな!」と実感させてくれる。お気に入りのサーフスポットは、モルディブとフィリピン。

フォトグラファーを始めたきっかけは?

11年前、初めて水中撮影をしたのが始まり。ハウジングを手に入れて向かったのはフィリピン。最初はちゃんと撮れているかも分からず、溺れているような感覚だった。でも、海の中で過ごす時間が増えるにつれて、体が自然と覚えていった。そこからは、自分のプラットフォームを通じて作品を発信し続けている。そして同じような世界観を持つ人たちの目に留まり、少しずつ仕事へと繋がっていった。
ここ数年は、サーフリトリートやサーフブランドの撮影をメインに活動している。フィジーでは強いカレントに引きずられそうになったり、バリのビンギンではリーフに身体を打ちつけて怪我をしたりと、怖い思いもたくさんしてきた。でも、そうした経験もすべて今の自分を支えてくれていると感じている。

海や自然は、あなたにとってどんな存在?

忙しい日々や喧騒から離れて、マインドをリセットできる場所。もちろん、太陽の下でキラキラと輝く海も大好き。でも実は一番好きなのは、曇り空の雨が降る前の薄暗い時間帯。風が吹き始めて空気が変わり、海の表情が一変するあの瞬間に、いつもワクワクしている。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

カメラ、海で過ごす時間、友達。

今後の夢や目標は?

自然と波長を合わせながら暮らせる、落ち着いた海辺の場所を見つけたいと思っている。今もバリが大好きだけど、オーバーツーリズムが進んでいて、どんどん変わってしまっている。だからこそ、創造的な活動ができて、サーフィンも楽しめる場所を探している。
もうひとつの夢は、サーフフィルムの制作。最近、撮影したいシナリオやロケーション、登場するサーファーたちのイメージがどんどん頭の中に浮かんできていて、いつかそれを形にできる作品を作りたいと思っている。

新しいことを始めたい人へのアドバイス

まずは、その分野で活動している人とのコネクションを作ること。そして、自分の「やりたい」を声に出していくことが大事。そうすることで、思いがけないチャンスが舞い込んできたり、理想のプロジェクトに関わる機会がやってきたりする。大切なのは、不安に負けずに動いてみること。行動すれば、自然と道は開けていくはずだから。

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG #####

  • 【特集:Ocean People】海から始まるストーリー/19_テイガン・ウーラード
  • 2025.07.07

海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。

Profile
Teigan Woollard テイガン・ウーラード
西オーストラリア出身。現在はモルディブのリゾートで働きながら、ヨガ、サーフィンのインストラクターとして働いている。

あなたのことについて教えて

生まれも育ちも、西オーストラリアのパース。ここ数年はゴールドコーストに住んでいたけど、今はモルディブのリゾート「カンドゥーマ・フシ」で、サーフィンとヨガのインストラクターをしている。働き始めてからちょうど3ヶ月くらい経ったかな。この仕事を知ったきっかけは、たまたま見つけたオンラインの求人。応募してから6週間後にはもうモルディブにいて、自分でもそのスピード感にビックリ! でも、すべてがスムーズに運んだので、これは“行け”というサインだなと感じた。
サーフィンもヨガも、自分の「好き」を仕事にできていて、毎日が本当に楽しい。特にサーフィンは子どもの頃から大好きで、いつかサーフィンに関わる仕事をしたいと思っていた。数年前からは副業としてレッスンも始めて、少しずつ夢が形になってきた。

サーフィンを始めたきっかけは?

私が育ったパース周辺は波が小さくて、よく南のマーガレットリバーまで通ってた。子供時代は弟と一緒に海に行くのが当たりで、夢中になってサーフィンしていたのを覚えている。これまでいろんな場所を旅してきたけど、西オーストラリアの自然や透き通った海の美しさは特別。そこで育ったことを、今ではとても誇りに思っている。
ゴールドコーストでお気に入りだったポイントは、バーレーヘッズとレインボーベイ。東海岸はサーフカルチャーが発展していて、波のバリエーションも豊富、西とはまた違う魅力がある。波のコンディションによって、ロング、ツイン、ショートを使い分けるのが好きで、ロングはジョシー・プレンダーガスト、ショートはアラナ・ブランチャードのスタイルを参考にしている。

モルディブでの1日の過ごし方を教えて

朝はヨガクラスからスタート。その後はゲストを連れてサーフィンへ。1日に1〜2セッションほどレッスンがあり、日によってはサーフショップの仕事も手伝っている。仕事の日はかなりアクティブに動いているけど、オフの日はたっぷりサーフィンしたり、のんびり過ごして、しっかりリセットするようにしている。
ここモルディブはリーフブレイクのライトハンダーが魅力で、今までサーフィンしてきた中でも一番のお気に入り。次に行ってみたい場所は、スリランカとインドネシアのスンバ島。

あなたにとって「海」とは?

一言でいうと、“ホーム”。海のそばで育ったから、思い出や特別な瞬間には、いつも海があった。サーフィンしているときが、一番自分らしくいられる。海は、自分の一部みたいなもの。

あなたの生活に欠かせない3つのものは?

サーフボード、ヨガマット、そして大好物のピーナッツバター!

今後の夢や目標は?

今の暮らしが、まさにずっと描いていたライフスタイル。自分の「好き」を大切にしながら、心地よいエネルギーに囲まれて、海のそばで生きていけたら。それがこれからもずっと続いてくれたらいいなと思っている。

photography_Jinu Watey & Jordy Wydra

text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram

TAG #####