覇空港から約25分。沖縄本島の最南部、糸満市にある県内最大の手作りガラス工房、琉球ガラス村。ここには沖縄の自然と調和する美しい色合い、透明感のある琉球ガラスが揃っている。
その中でも注目を集めているのが、シックで新しい琉球ガラス「mado」。このガラスは、海のエッセンスを上品に残しながら、廃自動車の窓ガラスをリサイクルしたアップサイクルプロジェクトから生まれた逸品。
今回は、沖縄のエシカルなお土産として買いたくなる、アップサイクルした琉球ガラスの魅力をご紹介します。
「mado」の製作のきっかけは、沖縄県内での廃車処理問題。沖縄は車社会であり、廃車の数も多いのが現実。廃車から出る窓ガラスのゴミを県外に運搬して処分するためのコストやエネルギーが、業者や環境に負担をかけていた。
そこで、県内での再利用方法を模索し、琉球ガラスへのアップサイクルというアイデアが生まれた。廃ガラスを県外に運ぶのではなく、県内で再利用することで運搬コストを削減し、資源を有効活用。これは、人にも地球にも優しい理にかなった循環システム。
沖縄は戦後の物資不足の時代から、リサイクル精神を持ち続けており、この精神が「mado」にも受け継がれている。
廃ガラスを原料とする製作には、高い技術とスピードが求められるが、「mado」のプロジェクトには20名の職人が参加し、月に2000個の製品を安定的に生産している。これを可能にしているのは、沖縄最大のガラス工房「琉球ガラス村」だからこそ。
「琉球ガラス村」の魅力は、手作りの温かみとチームワーク。職人たちが協力し、アイコンタクトだけで息を合わせながら、ひとつの製品を作り上げていく様子は、まさに伝統を守り続ける姿そのもの。
ガラスのデザインには、「ダイヤ柄」と「モール柄」の2種類。ダイヤ柄は、光を通した際に美しい影を映し出し、視覚的な美しさがある。モール柄は琉球ガラスの歴史の中で初期から使用されているクラシックなデザインで、その伝統と品位が感じられる。
また、カラーも2種類。運転席側は緑がかった涼しげな「アイスグリーン」、後部座席側はシックな「スモーキーブラック」が上品な美しさがあり、他の琉球ガラスとは違うシックさが魅力的。
いつも見ているクルマの窓ガラス。それが廃車された後のことを考える機会は少ないけれど、madoが日常で使える食器やインテリアとして生まれ変わらせてくれる。沖縄の歴史と伝統が繋いだプロジェクトをぜひ手にしてみて。
琉球ガラス村
住所:沖縄県糸満市字福地169番地
電話番号:098-997-4784
営業日:9:30〜17:30(定休日なし)
公式サイト/Instagram
「SALT…Magazine #02」 ¥550
SALT…#02は待望のタブロイド版!沖縄に根付く“自然に寄り添う”のではなく“共に生きる”というマインド。
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photography _ Yusuke Matsuo composition _ Ayaka Takaura
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