鎌倉の落ち着いた裏路地にひっそりと佇む古民家。ここは元芸者置屋をリノベーションした、美・食・心を整えるための、OSAJIが提案する複合型店舗「enso(エンソウ)」。体験できるのは、“食”と“ 香り”を通じて心と体のバランスを整える大切さ。
調香体験では、30種類以上の精油から直感的に気に入った香りを選び、オリジナルのエッセンシャルオイルやルームフレグランスを作ることができる。
香りは名称を伏せて選ぶことで、先入観にとらわれず、香りの輪郭や深みをじっくり感じることができる。選んだ香りは、あとで答え合わせ。
じつは好きだと思っていた香りを選んでいなかったり、あまり気に留めたことがなかった香りを気に入っていたり、当たらな巡り合いを感じる。
香りだけに向き合うからこそ、自分の内側に潜む心地よさや、落ち着く香りに巡り合うことができるのかもしれない。
レストランでは地元・鎌倉の食材を活かした発酵料理が、感覚を開き、体と心を満たす。和とモダンフレンチが融合した一皿は、馴染み深い食材を新たなマリアージュで楽しませてくれる。
ここで改めて気づかされるのは、“食”本来のあり方。「体にいいから食べる」のではなく、「まずは味わいも、香りも美味しくいただくことが、結果として体にいい」ということ。
旬を大切にした食の滋養は、日常でも見直したい心がけ。心と体を整えるヒントが散りばめられたenso 。内側のバランスに不和を感じたら、ここで調律したい。
Shop info
enso
ADDRESS _ 神奈川県鎌倉市小町2-8-29
TEL _ 0467-39-6141
OPEN _ 10:30~18:00(平日)、10:30~19:00(土祝)、8:30~19:00(日)
CLOSED _ 火・水曜
レストランは平日のランチタイム、土日祝のみ要予約
調香体験は平日、土日祝ともに終日要予約
PRICE _ レストラン カフェタイム¥990~、調香体験 ¥8.800~
「SALT…Magazine #03(タブロイド版)」¥550
古都・鎌倉。相模湾に面した海岸線は美しい弧を描き、日本屈指のクラシカルポイントとしてサーファーにも永年愛されている。今特集では、編集部が鎌倉を巡り、感性に触れた人やスポットを紹介します。
TAG #GYPSEA BY SALT...#SALT#03#マインドフルネス#ライフスタイル#リトリート#鎌倉
海が似合う“素敵なあの人”が偏愛する、モノやコトを紹介するこの企画。今回はバリと日本を行き来する生活を送る、Hitomi Roseさんに話を伺った。
Profile
Hitomi Rose
湘南生まれ、湘南育ち。ヨルダンと日本の両親を持つ。モデル業のほか自身でもマーケティング会社を営み、バリと日本を行き来する生活を送っている。
「小さい頃から本当に自然が大好きで。仕事でバリに行くことが多いのですが、バリを訪れるたびに実感させられます」
3年前に設立した会社でマーケティング関係の仕事に従事するHitomiさん。その関係で頻繁に行き来をするバリには、深い愛着があるよう。
「仲の良い友人家族がサーファーだったので、海への愛を感じながら育ちました。バリは本当に自然が豊かなのが魅力で、北から南まで探索しています。
滞在中のヴィラからはウルワツが近いのですが、ここは有名なサーフスポットなので、たまにボードを借りて友人とサーフィンをします。もう少しローカルなビーチで1日中貝殻を拾ったり、魚を見て泳いだり、本を読みながらゴロゴロしたりも……。
あとは北の方に行くと、山と森がすごくって。自然が本当に雄大なんです。そういう場所にバイクで行ってトレッキングをしたり、静かな場所で自然の音を聞きながらメディテーションもしています。
東京ってどこへ行っても人だらけですよね。バリの都心部も同じで、誰の目も届かないところに行き心を落ち着ける時間がすごく重要。私の生活に自然は本当に欠かせない存在です」
ペスカタリアンのHitomiさんにとって、お肉を使わない食事の豊かさや、その美味しさにもトリコなのだとか。
「インドネシア料理は日本人の口に合っているのか、ずっと食べていても飽きないんです。ローカルの野菜とバリのスパイスなどを使った料理は、満足度が高くって。味にも自然を感じられるものが好きみたいです(笑)。 そういった自然の恵みに感謝をするという意味があるのか、バリには自然に敬意を払った独自の宗教というか、お祈りの文化があるのも素敵だなって思います」
一方で、Hitomiさんが日々胸を痛めているのがゴミの問題だ。
「バリは観光大国でありながらゴミを処理する設備が不十分なので、海に浮遊するゴミの量も膨大。時間があるときはビーチクリーンもしているのですが、毎回大きい袋がパンパンになります……。
取引をする企業は環境に配慮しているところだったり、ポリシーを持ってお仕事をしています。でもやっぱりバリのブランドとお仕事をさせてもらっている以上、もっと力になりたいと思っています。それがこれからのミッションのひとつです。まずはもっと発信をして知ってもらいたいな、と思っています」と、将来の展望についても語ってくれた。
text _ Miri Nobemoto
TAG #Hitomi Rose#バリサーフィン#ビーチライフ#素敵なあの人の偏愛事情
波音や沈みゆくサンセットなど、海との一体感を全身で感じられる、鎌倉・材木座のヨガスタジオ「GYPSEA BY SALT」。ここでインストラクターを務める山口陽平さんに、心身のチューニングをする大切さを教えてもらった。
Profile
ヨガインストラクター 山口陽平
神奈川県出身。トライアスロンへの挑戦中にケガを経験し、そのリハビリをきっかけにヨガと出会う。硬かった体が徐々にほぐれる中で、心身の心地よさを実感し、ヨガへの探求を深めていく。現在はフリーのヨガインストラクターとして、各地でレッスンを行い、多くの人々にヨガの魅力を伝えている。
「5 分でもヨガをするとエネルギーが巡り、心と体が軽くなります」と語る山口さん。ヨガは呼吸を通じて酸素という“食事”を体に届け、活力を蓄える時間でもある。
また、サーフィンとの相性も抜群で、柔軟な体と落ち着いた心がパフォーマンスを向上させてくれる。海外のプロサーファーもヨガをトレーニングメニューに取り入れるなど、男女ともにヨガは広がりを見せている。
なかでも、心身のリラックスを促すシャバーサナはヨガの終わりに行うポーズだと教えてくれた。動きを止め、じっと静かに心を沈めることで脳を浄化する。
山口さんは「シャバーサナは、見る自分と見られる自分を俯瞰して感じる時間」と表現。彼のナビゲーションで目を瞑り横になると、体が徐々に溶け込む感覚へと導かれる。
「すべての感覚を一度手放し、雨が土に還るよう、身体の中を循環させたエネルギーを細胞に浸透させ、心身ともにフレッシュな自分に生まれ変わる時間」と語る山口さんの言葉からは、ヨガがもたらす豊かさを感じられた。
Shop info
GYPSEA BY SALT
ADDRESS _ 神奈川県鎌倉市材木座5-8-25 材木座テラス2F
TEL _ 0467-38-8231
OPEN 7:30~19:45( 要予約) PRICE 初回体験¥1.650、ドロップイン¥3.300、月額制¥6.050 〜
「SALT…Magazine #03(タブロイド版)」¥550
古都・鎌倉。相模湾に面した海岸線は美しい弧を描き、日本屈指のクラシカルポイントとしてサーファーにも永年愛されている。今特集では、編集部が鎌倉を巡り、感性に触れた人やスポットを紹介します。
TAG #GYPSEA BY SALT...#SALT#03#ヨガ#鎌倉
海と繋がり、自分の中の好きや小さなときめき、そしていい波を追い求めてクリエイティブに生きる世界中の人々、“Ocean People”を紹介する連載企画。彼らの人生を変えた1本の波、旅先での偶然な出会い、ライフストーリーをお届けします。
Profile
Margarita Salyak イネス・マリア・カラチェド
ロシア出身の水中フォトグラファー/アーティスト。インドネシアを拠点に、メンタワイやハワイで世界中のサーファーをカメラに収める。
あなたのことについて教えて
生まれ育ちはロシアのモスクワ。幼い頃からアートに興味があって、大学でもアートを専攻していた。在学中のプロジェクトがひと段落した頃、6ヶ月の休暇を使って初めてバリを訪れたのが19歳のとき。サーフィンやライフスタイルなどその全てが私の理想で、ここに長く滞在したいと思った。そのために仕事を探していたとき、メンタワイでサーフィンフォトグラファーとして働く機会をもらった。今までイベントやファッションの撮影経験はあったけど水中カメラは触ったことがなく、それに当時(10年前)のインドネシアは今では想像できないほど手付かずの状態で、メンタワイを知っている人も少なかった。
ただただ海・サーフィンが好きで、どうにかしてインドネシアに滞在したくて、“Yes”と答えて片道切符でメンタワイへ向かった。水中撮影ができるハウジングなどのカメラギアも揃え、一日のほとんどの時間を海の中で過ごした。当時20歳だったけど不安はあまりなくて、最高の波がある場所で思う存分学び、今後に生かせるよう経験を積むことが純粋に嬉しかった。
撮影中に怖い経験もたくさんした。ハワイのパイプラインで撮影していた時、いきなり天気が嵐のように変わり、強いカレントのせいでビーチに戻ることが出来なかった。波もかなり大きかったから、とても怖かったのを覚えてる。
サーフィンを始めたきっかけとお気に入りのスポットは?
インドネシアにはもう10年以上住んでいるけど、サーフィンを本格的に始めたのは4年くらい前。パンデミックで観光客がいなくなった海に毎日入り、そのお陰でだいぶ自信がついた。それまではメンタワイとハワイを行き来しながら生活していて、どちらも初心者には難しい波だった。だから撮影に専念して、キャリアを築いていた。
お気に入りのサーフスポットはやっぱりメンタワイ。最高の波で地球の楽園のような場所。次に行きたい場所はタヒチと日本!
海、自然との関係を言葉で表すなら?
私のライフスタイルと自然は密接に繋がっている。仕事も私生活も海があるからこそ成り立っていて、考え事や不安なことがある時は、いつも海へ戻るようにしている。サーフィンでもビーチを散歩するだけでも、自然の中にいることが私を謙虚にさせてくれる。
あなたの生活に欠かせない3つのものは?
海(サーフィン)、友達と家族、あとは大好きなチョコレートかな。
何か新しいことを始めたい人へのアドバイスを
やると決めたら、その直感を信じてとにかく行動すること! 不安や迷い、失敗したら……と考えることもあるかもしれないけど、やってみないと分からないこともたくさんあるから。その過程で出会う人々や、新たなコネクションもきっとあるはず。
text:Miki Takatori
20代前半でサーフィンに出合い、オーストラリアに移住。世界中のサーフタウンを旅し現在はバリをベースに1日の大半を海で過ごしながら翻訳、ライター、クリエイターとして多岐にわたって活動中。Instagram
TAG #Ocean People#サーフィンフォトグラファー#ビーチライフ#マルガリータ・サルヤック#メンタワイ#連載
海と対峙するとき、音楽は円滑油のような効果を発揮する。サーフィンと音楽が絡み合い起こる化学反応。多くの先人たちの言葉を交え時空に綴れ織りを描くとき、サーファーとダンスの関係が見えてくる。
旅先で音楽をスマートフォンから聴くのは気分が良い。でもお気に入りのナンバーだけではなくローカルラジオにチューンを合わせるのも、旅の産物と成り得る。
ハワイならばFMステーションKIKIを聴くべきであろう。ハワイアンのレジェンドからデビューしたばかりのバンドやシンガーソングライターまで、幅広く新旧ハワイアンの曲を聴くことができる。もちろん刻一刻と変化する波情報も頼りになる。またハワイアンがジャマイカ産のレゲエを独自に発展させた、ジャワイアンもポピュラーだ。大柄なハワイアンが小さなウクレレを抱えている姿はなんとも微笑ましい。南太平洋のトンガ、ニューカレドニア、パプアニューギニア、サモアなどでもオリジナリティ性が高いレゲエが奏でられている 。
カリフォルニアはラジオの本場だけあり、無数のステーションを聴くことができる。ジャズ、クラシック、トップ40、懐かしのロック、C&W、ヒップホップ、大学から発信されるカレッジ局、スティービー・ワンダーが所有するソウル専門局など何でもある。なかでもALT987はチルアウトとオルタナティブ系オンリーの先取り感の強いラジオ局だ。エンシニータスのアドボケートは現役サーファーが運営するステーションで、コンセプトは「サーファー以外に聴いてもらう」。しかしリスナーの大半はサーファーで、音楽以外は波情報だけでなくエキジビション案内、海に近い物件紹介、環境問題、ときに政治的な意見も発信している。
オーストラリアならTRIP-J。国内のアーティストがノージャンルで紹介され、年間最優秀アルバムやアーティストを発掘。今ではオージーミュージックのメジャーへの登竜門となっている。'70年代、ブロンズオージーのマーク・ウォーレンはここで定期的に波情報を発信し、これがラジオ版の波情報の発祥とされている。一方TRIPLE-Mはアメリカとイギリス寄りのヒットソングが中心で、サーファーはJを好んで聴いている。どちらも国営放送だ。またバイロンやトーキー、ゴールドコーストなどのコミュニティFMはさらにローカル色の強いナンバーが流れ、日本ではありえない風変わりで前衛的なステーションもある。特にバイロンは現在でもヒッピー文化が定着しているため、オルタナティブ系ミュージック専門のラジオ局が多い。ほとんどコマーシャルもなく、コミュニティ情報が中心だ。
イスラム圏の国々では欧米のヒット曲が流れることは皆無に等しい。バリを含むインドネシアやトルコではその国独自の楽器を奏で、異国情緒を味わうことができる。
余談になるが、バリ島を訪れる多くのサーファーはバリダンスとガムランミュージックを鑑賞して感銘を受けるようだ。1980年ウルワツで開催されたOMバリのコンテストで優勝したテリー・リチャードソンはダンスを舞うような動きでバレルを突き破ったが、その仕草は指先までレゴンダンスのようだったと評価された。実際にテリー自身バリサウンドを愛聴しており、大量のカセットテープを購入していた。クタのラ・バロン、レギャンのドギーズは悪名高いディスコで、オージーと一部のヨーロピアンにより毎晩凄まじい盛り上がりをみせていた。客層からオージーロックがメインで、クタの違法カセットテープショップでは、馴染みのないバンドのテープが並んでいた。ギャングガンジャやスパイ・バイ・スパイ、後に一世を風靡するメン・アット・ワークなど豪州産サーフムービーでしばしばかかるロックは、バリで手軽に購入できた。
南カリフォルニアから南下しながらバハを目指すとラジオから流れる曲もアミーゴしてくる。カリブ海の島々でのラスタマンパワーは別格で、ジャマイカの首都キングストンには、ルーツレゲエ専門局、最新ナンバーしか流さないステーション、海賊FM局まで多数ある。但し狭いエリアでしか受信できないので、キングストンからモンテゴ・ベイまでのロングドライブでは、こまめにラジオをチューニングする必要がある。ただ、どこでもいつでも必ずレゲエが聴ける。そこでしか聴けない音楽。これもまたサーファーを魅了する。
【SURF MUSIC makes us "SALTY"バックナンバー】
#01 -潮騒香る音楽に身を委ね踊るとき-
#02 -ショートボード革命とサイケデリックサウンドの相関図-
#03 -世界中で無限の変貌を遂げ始めたフラワーチルドレンの種-
#04 -制限なき選択ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド-
#05 -サーファーだけが知るアンダーグラウンドという美学-
#06 -コラム:DICK DALE/ヘビー“ウェット”ギターサウンズ-
#07 -コラム:KALAPANA/アイランド“クール”ブリージング-
#08 -コラム:CALIFORNIA BLUE/西海岸からの潮風-
#09 -コラム:REBEL MUSIC/反骨心の魂を追う、サーフミュージックの側面-
#10 -コラム:SURFER' S DISCO & AOR/サーファーズ・ディスコとAOR-
>>特集の続きは本誌でご覧ください。
「SALT…Magazine #01」 ¥3,300
本誌では24ページにわたってSURF MUSICを特集。“サーフィンと音楽”の蜜月関係から、アンドリュー・キッドマンのインタビュー、抱井保徳さんのコラムなど掲載。潮の香りをまとったソルティな音楽は、サーフィンライフを豊かにしてくれる。
photography_ Aition text_Tadashi Yaguchi
TAG #SALT#01#SURF MUSIC#SURF MUSIC makes us "SALTY"#サーフミュージック
海が似合う“素敵なあの人”が偏愛する、モノやコトを紹介するこの企画。今回は、ライフスタイルブランド『SeaRoomlynn』のデザイナー兼PRを担当するeminaさんに話を伺った。
Profile
emina
ライフスタイルブランド『SeaRoomlynn』のデザイナー兼PR。商品制作をメインに、MDからPRまで幅広い業務を担当。
「洋服は自分自身を表現する方法のひとつ。着てくださる方にもそうであってほしいなと思っています」と話すのは、ライフスタイルブランド『SeaRoomlynn』のデザイナー兼PRを務める、eminaさん。小麦色の肌にカーリーヘア、ナチュラルなメイクにシンプルなアイテムをファッショナブルに着こなすeminaさんのスタイルは、多くの女性から支持されている。
「わたし自身、シンプルな服が一番好きで。“海と都会が好きな女性”っていうコンセプトを叶えるために、自分らしさを洋服作りでも大切にしています。今自分がどんなものを着たいのか、スタッフはどんなスタイルが気分なのか。みんなの声を反映して、自分たちのような女性が本当に着たいと思える、等身大のお洋服を作っています」
コンセプトを体現したような彼女だからこそ、多くの人に支持されるプロダクトを作り上げることができているのだ。
「シンプルだからこそ細部にすごくこだわって作っています。それぞれの商品に対する想いが強くなって、Instagramのキャプションもものすごく長くなっちゃう(笑)。ただ、よくDMなどで聞かれるのですが、着方に正解はないと言うことはお伝えしたいです。ファッションは自分が好きなものを着たいように着て欲しい。周りの目を気にせず、自分を“開放”してみたらもっと自分らしくなれるはず」
そんなeminaさんの定番は、上半身か下半身にボリュームがあるスタイル。「身長が160cmで大きくも小さくもなく、髪の毛にボリュームがあるので、一番バランスがとりやすいこのスタイルが定番です。パーマをかけたカーリーヘアはもはや私のトレードマーク。これに合わせたナチュラルメイクや、そばかすも自分らしさかなって」
リングの跡が残る日焼け肌も、そばかすを見せるナチュラルメイクも、彼女にとっては自分らしさを表現する方法のひとつだ。
eminaさんが海を好きになったのは、物心つく前の幼い頃。「小さい頃から家族で出かけることが多くて、海は身近な存在でした。水に触れている瞬間がとても好きで。サーフィンは長くやっているけれど、万年初心者(笑)。親友に誘われて始めたのがきっかけです。友達の子どもと、私が飼っている犬と、ビーチでチルしたり、海に入ったり。ゆるく楽しむのが心地いいです。忙しくてなかなか時間を作れないけれど、リフレッシュしたいときは海に行きます」
なかなかまとまった休みが取れないeminaさんがしっかりサーフィンできたのは、今年ハワイを訪れたときのこと。
「ワイキキビーチでサーフィンを楽しみました。あんなにパドルをしたのは初めて! 海に入ったのが久しぶりだったので難しかったけど、波待ちをしているだけでも幸せ。ブルーの水面がキラキラ輝き、風が心地よくて、ときたまウミガメが顔を出したりして……。ローカルの人と声を掛け合い、日本とは違った楽しみ方ができました」
「海外へ行くと感じることが多いのですが、周りの目を気にせずに自分の好きなものを着て楽しんでいる人が多い! 自分を表現するためのファッションとして、私たちのブランドを選んでもらえたら。正しさを求めずに、自分が好きなように着てもらえることが一番うれしいですね」
text _ Miri Nobemoto
TAG #emina#SeaRoomlynn#ビーチライフ#素敵なあの人の偏愛事情
海と対峙するとき、音楽は円滑油のような効果を発揮する。サーフィンと音楽が絡み合い起こる化学反応。多くの先人たちの言葉を交え時空に綴れ織りを描くとき、サーファーとダンスの関係が見えてくる。
サーファーがディスコに大挙して押し寄せたのは1977年。メディアは以前とは違うダンスフロアを“サーファーズ・ディスコ”と呼び始めた。その中心は東京なら六本木スクエアビルか赤坂ビブロス、大阪ならミナミと心斎橋に集中していた。それ以前はコンポラスーツを着て数人で同じステップを決めるのが主流だったが、サーファーが押し寄せると選曲はモータウン系ソウルから、ソフトでミディアムテンポのAOR、フュージョン、盛り上がりにはファンクからロックに変貌を遂げた。ラリー・バートルマンが映画『サタデーナイト・フィーバー』のサントラばかり聴いていた時期で、波の上をダンスフロアで舞うように踊った。
1979年発刊のオーストラリアSurfing Word誌が実施したプロサーファーへのアンケート「お気に入りのミュージックは?」では、ローリング・ストーンズ、サンタナ、ホルヘ・サンタナ、デヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリンスティーン、パブロ・クルーズなど、これだけ見ても圧倒的にロックが多く、ダンス系もアース・ウィンド&ファイアー、ビージーズ、ブラザーズ・ジョンソンなどがランクインしていた。バテンスはLAのディスコで羽目を外し、コンテストで得た賞金を全て充てても足りないほど店を破壊した逸話は有名だ。規模こそ小さいが、夏だけ限定オープンの新島のディスコでも暴れた。
東京では、金曜は六本木のメビウス、土曜は赤坂のビブロス、略して“金メビ土ビブ”という奇妙な現象も起こった。シックの「フリーク・アウト」~フランス・ジョリの「カム・トゥ・ミー」~カーティス・ブロウの「ザ・ブレイクス」~クイーンの「アナザー・ワン・バイト・ザ・ダスト」~ローリング・ストーンズの「ミス・ユー」~ロッド・スチワートの「アイム・セクシー」~ドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・ラニン」~パブロ・クルーズの「アイ・ウォント・ユー・トゥナイト」、力尽きる頃にチークタイムを2曲、再びロドニー・フランクリンの「ザ・グルーブ」~ボズ・スキャッグスの「ロウダウン」と続き夜は更けていった。
アダルト・オリエンテッド・ロック、通称AORは和製英語だ。1976年頃から流行り始めサーファー好みのサウンドに定着した。大人向けロックはポップスとは微妙に違い、少し背伸びして洒落てみたいサーファーのスタイルに響いた。ハードでシンプルなロックではなく、ソフト、ロマンティック、アーバンといった曖昧なくくりにジャズ、ソウル、ボサノバなどのエッセンスを加えたカクテルである。その代表格はボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、ホール&オーツ、ジェイ・ファーガソン、さらにネッド・ドヒニーのアルバム「ハード・キャンディ」のジャケットは、青い空とパームツリーの下でシャワーを浴びる、まさにカリフォルニアだ。波とサウンドに貪欲な大阪のサーファーから火が付いた名盤である。それから12年後の「ライフ・アフター・ロマンス」はサーフボードを膝の上に載せた姿で、サーファーの心を掴み続けた。
レコード店の存在も大きかった。ディスコなら六本木の「ウィナーズ」、ウエストコーストなら原宿「メロディ・ハウス」、大阪アメリカ村の路上ではアメリカ帰りの日本人がレコードを売っていた。地方のサーファーは東京や大阪へ来たついでにレコード店巡りをしたり、仙台、静岡、金沢、高知、宮崎、沖縄などにも一早く輸入盤レコードを販売する店が現れた。ジャケ買いするリスナーにとってホルヘ・サンタナのデビューアルバムは衝撃だった。何といってもカルロス・サンタナの弟、これだけで買わないわけにはいかなかった。さらに高中正義のセイシェルズをカバー、このアルバムもサーファー限定でブレイクした。同様の理由でファニア・オールスターズの「リズム・マシン」もサーファーに売れた。
当時のサーフィン雑誌には毎号レコードを紹介するページがあり、ウィルソン・ブラザース、エアプレイ、ロビー・デュプリー、クリストファー・クロスなど高い確率でアダルトなロックがピックアップされ、多くのサーファーが参考にしていた。ディスコからAORへ、サーファーは弾けながら大人のふりをした時代である。
【SURF MUSIC makes us "SALTY"バックナンバー】
#01 -潮騒香る音楽に身を委ね踊るとき-
#02 -ショートボード革命とサイケデリックサウンドの相関図-
#03 -世界中で無限の変貌を遂げ始めたフラワーチルドレンの種-
#04 -制限なき選択ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド-
#05 -サーファーだけが知るアンダーグラウンドという美学-
#06 -コラム:DICK DALE/ヘビー“ウェット”ギターサウンズ-
#07 -コラム:KALAPANA/アイランド“クール”ブリージング-
#08 -コラム:CALIFORNIA BLUE/西海岸からの潮風-
#09 -コラム:REBEL MUSIC/反骨心の魂を追う、サーフミュージックの側面-
>>特集の続きは本誌でご覧ください。
「SALT…Magazine #01」 ¥3,300
本誌では24ページにわたってSURF MUSICを特集。“サーフィンと音楽”の蜜月関係から、アンドリュー・キッドマンのインタビュー、抱井保徳さんのコラムなど掲載。潮の香りをまとったソルティな音楽は、サーフィンライフを豊かにしてくれる。
photography_Mitsuyuki Shibata text_Tadashi Yaguchi
TAG #SALT#01#SURF MUSIC#SURF MUSIC makes us "SALTY"#サーフミュージック
© SALT… Magazine All Rights Reserved.
© SALT… Magazine All Rights Reserved.