• 高校2年生のロングボーダー間瀬侑良夏が夢の舞台「Queen Classic Surf Fest」に参戦。自身で綴ったイベントの記憶_Vol.2
  • 2024.10.20

フランス・ビアリッツ出身のカリスマロングボーダー、マーゴ・アハモン・テュコと妹のエメ、マーゴの幼馴染のアマヤの3人が2021年に立ち上げた、女性だけのサーフコンテスト「Queen Classic Surf Fest(以下、QCSF)。世界中のスタイルのある女性サーファーを招集し、ミュージック、アート、スケート、サーフィンを通じて、女性サーファーの地位向上、LGBTQ+、フェミニスト、環境問題などを発信するイベント。市の後援やVANSが冠スポンサーとなり、夏のビアリッツの一大イベントへと成長した。このコンテストに日本から唯一、高校2年生のアマチュアロングボーダー間瀬侑良夏(ませゆらな)がクレジットされた。憧れのロングボーダーが集う夢の世界。いつかは出場したいと思い続けていたある日、それは現実なものになった……。この特集は、夢の切符を手に入れた間瀬侑良夏が綴ったイベントの記憶。第2回目の今回は、コンテスト前夜のレセプションパーティまでの様子お届けします。


周りの人のたくさんの助けによって、無事ビアリッツ滞在がスタートした。私のヒーロー、エルワンさんとランチをする前にコンテスト会場であるコート・デ・バスクをチェックしに行ってみる。白壁に鮮やかな色のコロンバージュ(木組み)の建物がずらり。ここバスク地方のコロンバージュに使用できる色は、赤、緑、紺の3色と決まっているそうで、なるほどこの美しい景観が守られている理由が分かった。

通りを抜け、小さな交差点を渡ると、目の前に大西洋が広がった。100段以上の石造りの階段とビーチへと続く長いスロープ。岬の先にはコート・デ・バスクを象徴するヴィラ・ベルザが佇む。何度も見返したリール動画の景色が目の前にある事実と、芸術的なヨーロッパの海に言葉を失った。

コート・デ・バスクは潮が満ちてくると波のブレイクがなくなり、階段やスロープも海に沈んでしまうためサーフィンのできる時間帯は限られている。ビアリッツは朝明るくなるのは遅いが、夜は暗くなるのが遅い。9月も9時近くまで明るく、真夏だと10時ごろまでサーフィンができるそう。なんて羨ましい環境だ!

海岸にはレストランやサーフショップ、ボードレンタルのテントが並び、ボーダー柄のテントがいちいち可愛い。会場エリアまで歩くと併催のスケートボードランプが設置されており、コンテストの準備が進められている様子に心拍数が上がる。 数日後にはこの会場でQCSFがスタートする。息を大きく吸い込んでみる。緊張よりもワクワク感が勝っていた。


エルワンさんのオフィスを訪ねて編集部を紹介してもらった後、人気のレストランでランチをご馳走になった。満腹になった後は腹ごなしに市内を散歩し、欲しかったエスパドリーユや水着を物色。そうこしているうちに潮周りが合うタイミグになり、海に向かった!

サーフボードを片手に街を歩き、長いスロープを降りてヴィラ・ベルザへ。その一歩一歩に感動する。陽が傾きはじめた海へゆっくりとパドルアウト。上からは小波に見えたが、時折入るセットは肩くらい。波待ちしながら眺めるヴィラ・ベルザがあまりにも美しく、胸が震えた。この感動はきっと一生忘れない。


ビアリッツの天気はコロコロと変わる。翌日は朝から雨と強風で、とにかく寒い一日となった。海もノーサーフコンディションなので周辺を散策し、中心に位置する市場「Halles de Biarritz」へ。体育館のような2棟の建物の中に新鮮な海鮮や色とりどりの野菜、それにパンやハム、チーズ、スイーツも! 目が忙しくなる品揃えですべてが美味しそうに見えた。カフェやバー、イートインスペースもあり、2階には購入したものを楽しめるテーブル席が並んでいた。


翌日、天気のせいでほんのわずかな時間だったが、ヴィラ・ベルザをバックにフォトグラファーのロマン・ラフューさんと水中撮影に臨んだ。心地良い緊張感から始まり、最後は笑顔でハイタッチの楽しいセッションに。撮影した写真はHOTDOGGER 10月号に掲載される予定なので楽しみだ!

そしてこの日はQCSFの招待ホテルへ移動する日。彼は次の仕事があるというのに、荷物をホテルまで運んでくれた。ビアリッツはヒーローが住む街らしい。チェックインを済ませ、シャワーを浴びてひと息ついた。今夜から3日間、いよいよQCSFが始まる。


5時から入場が開始。会場の入り口ではセキュリティ・チェックが行われ、規模の大きさを改めて感じた。エントリー確認後、QCSFのテーマカラーであるピンクのVANSのリストバンドが巻かれた。エントリーブースに続々と選手が集まり、2ヶ月前にJULYウェットスーツのローンチイベントで来日していたローラ・ミニョンカリーナ・ロズンコに再会。ふたりは「やったね、エントリーおめでとう!」とハグをしてくれた。そして初のトランスジェンダー・サーファーのとびきり笑顔が印象的なサーシャ・ジェーン・ロワーソンや会いたかったアンブル・ヴィクトワールなど、トップサーファーたちとも挨拶を交わした。ふわふわした気持ちのままだったが、主催者であり私を見つけてくれたマーゴにも会い、感謝とお礼を伝えることできた。

ステージ裏の関係者用のブースでは食事とドリンクが振舞われる。完璧なまでの夕陽を見ながら自分に起こっているすべてを噛みしめ、ソーダで母と乾杯した。

ローラ・ミニョン(左)、カリーナ・ロズンコ(右)
マーゴ・アハモン・テュコ


Vol.3に続く……。

Vol.1はこちらからCheck!

間瀬 侑良夏(ませ ゆらな)

高校2年生/アマチュアロングボーダー

2007年生まれ、神奈川県川崎市在住。サーフィンとの出合いは11歳。14歳のときにシングルフィン・ロングボードコンテスト「THE ONE」に出場したことをきっかけに本格的に始め、2023年のTHE ONE LW 1st. classで優勝。また同年メキシコのラ・サラディータで開催されたMexiLogFestから招待を受けて参戦。
Instagram:@yurana_mase


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